Clear‐Crane‐Crime 4th【ars M.A】 (ページ3)

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108.アシスタント。ページ3

「智さん！」

ガチガチだった身体から、ちょっと力が抜けた。
マイナスイオン、智さん。

「おーちゃん、久しぶり！」

先生が小さく手を振って、智さんもそれに応えて手をフリフリ。

櫻井さんはちゃぶ台に戻って、二宮さんと乾杯してる。
「ウェーイ」「フゥゥ」って、何か陽気。

こっちに来た智さんが、先生とは逆の隣にちょこんと座って

「おじゃましまーす」

私に、ふふって笑う。
つられて、フフッて私も笑う。

「そう言えば、おーちゃんってAちゃんの直属の上司なの？」
「そうだよ。Aは、智くんの秘書」

先生の質問に答えたのは、櫻井さんで

「でも子、『秘書』って肩書き似合わねぇな」

そう笑いながら言ったのは、二宮さん。

「翔ちゃんに『秘書してくれる子探してるんだけど』って言われた時、てっきり翔ちゃんの秘書なんだと思ってた」

先生が言うと、櫻井さんが「あれ？俺、言ってなかったっけ？」ってキョトンとしてる。

「あれれー？翔おじいちゃん、ボケちゃったかなー？」
「何をぉ！？ワシはまだ耄碌しとらん！」
「クフフッ」
「ブハッ！」

陽気な2人が、今度は頑固おじいちゃんと生意気な孫ごっこを始めて爆笑してる。平和。

「あっ、私本当に秘書って程の仕事はしてないんです、しいて言うなら...アシスタント、かな」

二宮さんの言う通り私には『秘書』なんて似合わないし、そんな肩書き貰える程の働きを出来てるとは思えなくて

思わず、言い訳みたいに先生に言ったら彼は「そうなの？」って優しく微笑む。
うぅ...格好良い...。

「Aちゃんは、アシスタントじゃないよぉ」

ウットリしてたら隣で智さんがパーカーのポケットをゴソゴソしながら言う。

「あっ！まだアシスタントにもなれてませんよね！アハッ、何かすみません」
「ううん、そーじゃなくて」

ニコッと笑った智さんに「手、出して」って言われたから出すと

「おれのパートナーだよ、Aちゃんは」

その言葉と一緒に、掌にキャラメルを乗せられた。

「相葉ちゃんもあげる」
「ありがと」

智さんが反対側に居る先生にキャラメルを渡す為に腕を伸ばすと、先生は向こう側の手を出す。

だから、まるで先生に包まれてるみたいな体勢になってまた死にそう。
何度殺されかけてるの、私！

キャラメルを口に放り込んで、静かに息を吐き出す。

ちゃぶ台では、櫻井さんと二宮さんが2人で何か喋ってはウハウハ笑って楽しそう。