Clear‐Crane‐Crime 4th【ars M.A】 (ページ2)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:1,815,731 hit

107.手掴み。ページ2

何かウリウリし合って、楽しそうな智さんと二宮さん。

「あの2人、そんなに顔合わす事無いのに仲良いんだよな。波長が合うのかな。あ。この唐揚げ、うっま！」

櫻井さんがちゃぶ台の前にあぐらをかいて座るやいなや、唐揚げを食べた。

「櫻井さん、お疲れ様です」

私が立ち上がろうとすると、手で制される。

「今日は仕事関係無いんだから、無礼講で」
「あ...はい」

ニッと微笑んだ櫻井さんが、もう1個唐揚げをパクリ。

「翔ちゃん、俺も食べたい」
「食べりゃ良いじゃん」
「あーん」

口をパカッと開けた先生を見て、櫻井さんが「はぁ？」って眉を下げる。

「自分で食えよー」

なんて言ったわりに、唐揚げを両手に1個ずつ持って私達の前にしゃがみ

「ほら、食え！アッハハ！」

大笑いしながら、先生の口に唐揚げを突っ込んだ。
口の中いっぱいになった先生が、モゴモゴなってるのを見て更に笑ってる。
先生も口を押さえながら、何故か大笑い。

そんな2人を観察してたら、櫻井さんがこっちを見た。

「Aも、ほら」
「え？」
「あ、Aは他人が手掴みしたの無理？」
「え...っ！？」
「安心しろ、ちゃんと拭いたから汚くは無い」

ほら、あーん。って口の前に出される唐揚げ。

いやいや！手掴みだからとか、汚いとか、そーゆーんじゃなくて...！

でも社長命令っちゃ、社長命令で...いやでも、さっき仕事関係無いって言われたばっかだし...

ってゆーか、お遊びモードになってる櫻井さんのキラキラ具合が何か凄いんだけど！？

「いっただきまーす」

私がアワアワしてると、先生が私の前に出されてた唐揚げを横からパクンと食べた。

「あ」
「んー、おいし！」
「アハッ、何だよ雅紀ーお前のじゃねぇよ」

櫻井さんが、指先についた脂を舐めながら笑う。
そんな仕草なのに、妙に上品なのは育ちの良さか。
育ち良さそー！
シャチョー育ち良さそー！

...なんて考えてんのは、別の事に意識を向けなきゃドキドキし過ぎるから。

だって、さっき私に出された唐揚げを食べた先生の身体は更に近付いて

もう、肩と肩なんて重なっちゃって

私の身体の後ろに手を付いてる先生のその腕が、ずっと背中に当たってる。

でも、凭れ掛かる訳にもいかないから無駄に背筋を伸ばして

『勘違いしちゃダメ、自惚れるなA！』

って、もう自分に言い聞かせエンドレス。

私がガッチガチになってると

「Aちゃーん」

智さんがゆるーく声を掛けてきた。