Clear‐Crane‐Crime 4th【ars M.A】 (ページ1)

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106.ベースの面々。ページ1

死んじゃいそうなドキドキを誤魔化すように、ジーマの瓶に口を付けた。

隣では先生が片脚の膝を立てて、お酒を飲んでる。
脚、なっが！
きっと普通のポーズなのに、クラァっとなる。

自分の気持ちを認めてしまうとゆーのは、こーゆー事なんだなと思い知る。

どんどん、どんどん、好きになってしまって歯止めが効かない。

「ただいまー」

戻って来た二宮さんが、端っこで並んで座ってる私達を見て特に興味も無さそうに

「腹減ったし唐揚げ取ってきてやったよ。唐揚げバカの為にな」

って言いながら、唐揚げてんこ盛りのお皿をちゃぶ台に乗せた。

「ありがと！ニノ、愛してるよ！」
「ハッ、お生憎様。お前に貰わなくても、愛はじゅーぶん足りてます」
「またまたぁ。彼女いないくせにぃ」
「うっせぇ、バーカ！！」

子犬がキャンキャン吠えてるみたいな二宮さんに、相葉先生がウハハッて笑う。
先生が笑うと、その振動が私にまで伝わって来る。

「へぇ...。彼女、居ないんだ...」

可愛い顔してるのに。
お仕事もちゃんとしてるのに、意外.....でも無いか。
格好良いけど、この人諸々に若干のクセあり。

「おい。でも子、今何か言ったか？あぁん？」
「えっ？何か聞こえました？」
「この生意気な女め」
「...せっかく美形なのに性格がなぁ...勿体な......おっと、本音が」

目が笑ってない二宮さんが、スタスタ私の前に歩いて来るとストンとしゃがんで

「美形なのに、なぁに？」

ニヤリと目を細めたと思ったら、また私の頭をチョップ。

「痛いっ！」
「美形だし優しいし賢いし、超素敵な二宮さんだろーが」

またまたチョップ。

「ニノ、こらっ！」

先生が笑いながら、二宮さんに怒った。
その間も、ずっと、ずっと、私の隣にピッタリ寄って座ってくれてる。

何かもう、勘違いしてしまいそうで

必死で「いい気になるな、A。調子に乗るな、A」って心の中で反芻する。

「うぃーっす」

その時ベースに上がって来た、別の顔。

「ブハッ！何でお前ら、そんな端っこで身を寄せ合ってんの？」

会社で会う時よりラフで、初めて会った時と同じような雰囲気の櫻井さんが私達を指差して笑う。

その後ろからふらっと現れた、会社で会う時と同じように全身真っ黒な智さん。

「うっわ、レアキャラ！大野さん、生きてたんだ」
「ニノー、相変わらず顔だけは可愛いねぇ」

ふふって笑った智さんに二宮さんが「顔も、でしょ？」ってンフッて笑った。