パニック -Jiyong- ページ37
「待って。全然意味わかんないんだけど」
離れようとするA。
腕に力を入れ、再度引き寄せた。
「俺を好きって…男としてってこと…?だから…他の女とそういうことする俺とは、もういられないってこと?」
泣きながら首を小さく上下に振るA。
「じゃあ…あの男は?彼氏じゃないの?」
「お義兄ちゃんです。私のお姉ちゃんの旦那さんです。お姉ちゃんに赤ちゃんが産まれて、時間があれば最近お姉ちゃん達の家に行ってて、あの日も夜遅いからってお義兄ちゃんが送ってくれて…今日も…遊びに行ってて…」
マジかよ…
聞かされた真実。
自分の勝手な思い込みがバカすぎて、
言葉が出てこなかった。
Aは、俺の腕の中で最大限に身体を離し、
鼻をすすり、目は赤く、
その目から涙が溢れ、頬を伝い、
赤い唇を濡らし…
その瞬間、頭にふわっと何かが浮かんだ。
久しぶりのこの感じ。
涙で濡れた赤い唇。
素肌。
乱れる髪の毛。
聞こえる吐息。
心地よい香り。
「ジヨンさん…」
ハッとし、声がする方…
腕の中にいるAを見下ろした。
そう…この声。
この呼び方。
もしかして…
いや…違うだろ…
そんなわけない。
違うって言ってたし。
でも…もしも…
またAが隠しているのだとすれば…?
「離して下さい。私、本当に、もう帰りますから」
「1つだけ…」
「え?」
「1つだけ…今から聞くこと、隠さず、本当のこと話してくれない?」
Aの目が揺れている。
と、同時に、心も揺れているのが伝わった。
不思議そうな目ではなく、
身構えるような、強い目で真っ直ぐと俺を見ている。
「ナミソム島の…最後の夜。本当に…何もなかった?」
俺を真っ直ぐと見ていた目。
その目が、瞬きをしながら下にずれ、
何かを堪えるようにギュッと瞑った。
だから…
「聞き方を変える。俺、Aを抱いたよね?…無理矢理…?」
遠回しでなく、直接言葉を口にしたものの、
Aの性格や今の状態から見ても、
抱いたのなら、それは…さっきのキスのように無理矢理抱いたはずだから…
記憶がない自分の愚かさ。
やってしまったであろう最低なこと。
返答を聞くのが怖かったけど、
どんな表情も見逃したくなくて、
ずっとAの表情を見ていた。
「これで終わりなんだろ?もう俺とは会わないんだろ?なら…最後に本当のこと教えてよ」
なかなか何も口にしてくれないA。
煽るように声をかければ、
一瞬チラッと俺を見上げ…
小さく頷いた。
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がほ(プロフ) - anzさん» コメ頂いたのに、お礼が遅くなりすみません!最近更新がなかなかできなくて、本当に申し訳ないです。土日で頑張って更新しますので、良かったらまた読んで下さいね^ ^ (2018年11月3日 12時) (レス) id: c74390b1f3 (このIDを非表示/違反報告)
anz - 初めまして(´ ˘ `)凄くドキドキする作品をありがとうございます!毎日楽しみに更新待ってます! (2018年10月25日 7時) (レス) id: c7fabd4acc (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - ユリアさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます!なかなか更新が出来ずすみません!楽しみにしている…と言って頂けて嬉しいです^ ^ (2018年10月20日 9時) (レス) id: c74390b1f3 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - いつも楽しみにしてます!これから先どうなるのかドキドキです! (2018年10月9日 18時) (レス) id: 3eb3ef9154 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - なつこさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます!ドキドキしながら読んで下さって嬉しいです^ ^3連休中に続きを更新できるよう頑張りますね^ ^ (2018年10月5日 11時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がほ | 作成日時:2018年8月23日 15時