JIYONG -2-

腕の中 -You- ページ38

隠そうと思っていたのに。
絶対に誰にも言わないと誓ったのに。

なのに…
嘘はつけなかった。

抑えていた気持ちが溢れ出した今、
もう何も抑えることが出来なかった。

けど、頷いたものの、
ジヨンさんは何も言わない。

ただ、より腕に力を込めて、
ギュッと私を抱きしめてくれたまま。

私も怖くてジヨンさんの顔が見れない。
言葉を口にしたり、
身体を動かすことさえも怖くて。

でも不思議なもので、
だんだんとジヨンさんの腕の中に居心地の良さを感じた。

意識してないと身体の力が抜けそうな…
思わずジヨンさんの胸にもたれてしまいそうな…
ジヨンさんの香りに包まれて、思わず目を閉じてしまいそうな…

そんな不思議な感覚。

電話があった時の驚きと不安と嬉しさ。

会えた時の嬉しさと不安。

それからは…
もう本当に一瞬の出来事で、
頭と身体がバラバラでついていけなくて。

女の人のリップの跡や、
キスやそれ以上のこともした事実。
それ直接ジヨンさんの口から聞いて、
誰か私の知らない女の人が、
このジヨンさんの唇に触れ、
この手や胸に抱きしめられたのか…と思うと、
胸が痛かった。

でも、どうしてそんなことを言ったのかわからないけど、耳を疑うようなジヨンさんの言葉の数々。

嬉しさと悲しさ。

あの言葉の数々がジヨンさんの本心だとして、
そこまで友達として私のことを大切に思ってくれてるのだとしたら…
正直嬉しい。

嬉しいけど、それはやっぱり友達としてだからであって、女としてではない。

リップの女の人のように、
抱かれた女の人のように、
私はジヨンさんには女としては見られてない事実。


それなのに。

女としては見られてないのに、
なのにキスや、求めてくるジヨンさんが…


よくわからなくて、
とにかく、心と頭と目の前のことについていけなくて、ぐちゃぐちゃで…


このまま時間が止まればいいのに…


なんて、よくあるベタなセリフ。


だけど今、本当に心からそう思う。
心地良いジヨンさんの腕の中。
何も考えず、何も起こらず、
このままでずっといられたらいいのに…


けど、そんなことは無理だから。

離される前に、自分から離れようと思った。

だけど身体を動かした瞬間、
抱きしめるジヨンさんの腕に、また力が入った。


もう…ダメだ。
足の力が抜けそう。

いっそのこと、突き放してくれたらいいのに。

じゃないと…
離れられなくなりそうなのに…

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