マンション -Jiyong- ページ30
突然電話して、今すぐに詩集を返せ…
なんて酷いことを言ってしまったのに、
『わか…りました。今 手元にあるので、これから向かいますね』
思いもよらないAの言葉。
言った自分が驚いてる。
「どれくらい…かかりそう?」
「ちょうど近くにいるので…多分…15分くらいで着くと思うんですが」
Aの敬語。
敬語はなしで…と言ってから、なくなっていたのに…
なんて思ったのは本当に一瞬で、
15分という言葉にまた驚いた。
「時間も遅いですし、迷惑をかけても申し訳ないので、1階にあった郵便受けに入れさせて貰っても…大丈夫ですか?」
何それ。
もう俺の部屋に行くのは嫌だってこと?
あ、もしかして。
あいつに車で連れて来てもらうから、そうしたいってこと?
郵便受け?
それじゃ意味がないんだって。
「人に借りたらさ…ちゃんと返すのが礼儀じゃない?」
思った以上に嫌味な口調になってしまい、
胸が痛んだ。
「あ…すみません…」
謝罪の言葉を聞いて目を閉じた。
こんな言葉が聞きたかったわけじゃない。
こんなことを言いたかったわけでもない。
そんなの、時と場合だってある。
男がいるのなら、当然っちゃあ当然のことだし。
エントランス、エレベーター、部屋。
たしかにもう夜も遅い。
いちいちロックを解除してたら時間もかかる。
それに…
Aからしたら、もう俺に会う理由はないもんな。
借りた物を返せればいいだけだもんな。
でも…
「ちゃんとお返ししに行きます」
切れた電話。
急いでタクシーを捕まえて、家へと向かう間、
玄関や部屋はキレイだったっけ?と思い返した。
最近、気持ちはもちろん、生活も乱れていたから。
ってか何よりも、
Aの方が早く着きそうな気がして。
自分から偉そうに言った手前、
もう少し遅く来て…なんてことは言えなかった。
マンションに着くと、
多めに金を払って飛び降りた。
エントランスには…いない。
ホールにも…いない。
エレベーターに乗り、自分の階に着くまで、
こんなに長く感じたことはなかった。
落ち着け…落ち着け…
あんなにむしゃくしゃしてたのに。
イラついてたのに。
声を聞き…
会いたくて、今はたまらない。
さっきの酷い言葉。
感情に任せて吐き出してしまった言葉。
本当に申し訳なくて。
会える?
後ちょっと…
数分でAに会えるの?
焦りと嬉しさ。
混ざり合った気持ちでエレベーターが開くと、
目の前に、Aがいた。
537人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がほ(プロフ) - anzさん» コメ頂いたのに、お礼が遅くなりすみません!最近更新がなかなかできなくて、本当に申し訳ないです。土日で頑張って更新しますので、良かったらまた読んで下さいね^ ^ (2018年11月3日 12時) (レス) id: c74390b1f3 (このIDを非表示/違反報告)
anz - 初めまして(´ ˘ `)凄くドキドキする作品をありがとうございます!毎日楽しみに更新待ってます! (2018年10月25日 7時) (レス) id: c7fabd4acc (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - ユリアさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます!なかなか更新が出来ずすみません!楽しみにしている…と言って頂けて嬉しいです^ ^ (2018年10月20日 9時) (レス) id: c74390b1f3 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - いつも楽しみにしてます!これから先どうなるのかドキドキです! (2018年10月9日 18時) (レス) id: 3eb3ef9154 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - なつこさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます!ドキドキしながら読んで下さって嬉しいです^ ^3連休中に続きを更新できるよう頑張りますね^ ^ (2018年10月5日 11時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:がほ | 作成日時:2018年8月23日 15時