17話：夜風にあたったなら2 ページ44
「今、何を………？！」
なんとなく理解し始めた頭に、嘘だと言いかせたくて彼に問いかけていた。
「…落ち着いたか」
ニィッと笑う彼は少し悪戯っ子のような笑を浮かべているようにも見える。
それが、今の私に考えが当たっていることを告げていた。
「………兄王様、そういうことは後でゆっくりやってください」
混乱していた頭を必死に回転させていた私は、呆れたような紅明様の声にハッとする。
見られてた…
今の出来事を全て紅明様見られていた…
そう認識した瞬間、恥ずかしさのあまり顔だけでなく全身が熱を持ち始める。
ありえない。
最悪だ。
口づけもそうだけれど、“人前”ということが余計に恥ずかしい。
それも、よりによって紅明様の前だなんて…
穴があったら今すぐ入りたい。
恥ずかしくて、私は真っ赤になっている顔を隠すために俯く。
「大人しくしないお前が悪い」
トドメに紅炎様のそんな言葉が刺さった。
「だって…だって、仕方ないじゃないですかぁ………怖いんです…」
声だけでなく、紅炎様の肩を掴んでいる手が震えているのが自分でもわかる。
半泣き状態の自分が更に恥ずかしい。
それでも、こんな状況下だというのに私の中でいろいろな感情や考えが入り乱れている。
まず、空に浮かんでいるというこの恐怖。
紅炎様からの口付けの意味。
そして、紅炎様の行動に対する私の気持ち。
勿論、さっきの事には驚いた。
でも、嫌だとは思わなかった自分がいる。
未だに赤い顔の意味はキスされたからという理由だけなのだろうか………？
恐怖からなのか、それともキスのせいなのか胸の鼓動も収まらない。
正直、自分自身がわからなかった。
「A殿、そろそろ本題に移りたいのですが、よろしいですか？」
紅明様からの問いかけに私は慌てて思考を切り替えて、まだ震える声を搾り出す。
「はっ、はい。………先程は取り乱してしまって、申し訳ありません」
「では、そろそろ顔をあげてください。話ができませんから」
「…。」
彼のその言葉に私は恐る恐る顔を上げる。
17話：夜風にあたったなら3→←17話：夜風にあたったなら1
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミヅキ(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 読んで下さりありがとうございます(≧∀≦)♪ (2016年7月4日 21時) (
レス) id: f8d14255d8 (このIDを非表示/違反報告)
凰朧月鬼華(プロフ) - (´つヮ⊂)ｳｵｫｫｗｗｗｗ (2016年6月27日 15時) (レス) id: 6873cb50aa (このIDを非表示/違反報告)
ミヅキ(プロフ) - Rainyんぼ(*’▽’)さん» お返事遅くなって申し訳ないです！そう言って頂けて光栄です♪ノロノロ更新ですが、よろしくお願いします(*^^*) (2016年6月23日 21時) (レス) id: 7de071f674 (このIDを非表示/違反報告)
Rainyんぼ(*’▽’) - はまりました。更新楽しみにしています！ (2016年6月21日 20時) (レス) id: 7bd6c0a158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヅキ(プロフ) - 名無しの猫さん» 嬉しいです(∩´∀`∩)ｷｬｰ♪ありがとうございます！ (2014年8月5日 16時) (レス) id: c07fa541ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミヅキ | 作成日時：2014年6月1日 11時
