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17話:夜風にあたったなら1 ページ43

「きゃあっ!!ヤダヤダっ…落ちる!落ちる!!イヤぁっ!!」



「あ、おい、暴れるな」


バタバタと足と首を振って恐怖のあまり周りの見えなくなった私は、ぎゅうっと紅炎様の首元にしがみつく。




眼下に広がっているのはどこまでも続く青い海。

そして、私の視界には先程まで乗っていたはずの数隻の船が米粒の様に小さく映っていた。


今しがたまで紅炎様に宛てがわれていた船内のお部屋に居たはずの私たち3人。

しかし、信じられないことに夜の海の中、空に浮いているのだ。



足元からは程遠い海面に胃を持ち上げられるかのような感覚すら覚える。


「なななっ、何でこんなところにっ!!」




どうして、こんな事になっているのか…

パニック状態の私はそれを考える余裕もなく、落ち着くという言葉を知らない。


ぎゅうううっと目を瞑って、紅炎様の腕の中で暴れる。




「もしかして、彼女は高いところがダメだったのでしょうか?」


そんな紅明様の言いにくそうな言葉にも、私は彼が皇子様だということを忘れて余裕なく返す。



「こっこここんなに高いところなんて登ったことがないのでわかりませんっ!!!」


そう叫んで暴れれば、紅炎様からため息が溢れる。



「A、落ち着け」


「絶対に無理です!!無茶もいい加減にしてください!!」


「わかった。だから大人しくしろ」


「とにかく紅炎様!!今すぐに降ろして…っんむぅ?!!」






突然、目を瞑って訴えかけていた私の唇を何かが塞ぐ。




「ンーッ?!」


思わず悲鳴を上げるけれど、口元が塞がれているので声になっていない。


けれど食らい付くかのように、角度を変えて行われるそれに、口付けられているのだと分かった。

あまりの苦しさに、思わず彼の肩を掴む手に力が入る。



息ができなくて空気を求めて口元を開けば、柔らかな何かが一度だけ私の口の中をかすめて行った。



「ッ!!」


ビクッと体が反応する。



最後に私の唇を今まで覆っていたものが離れた。



ゆっくりと、今までギュッと閉じたままだった目を開ける。


パチっと視線が絡み合うのは紅炎様だ。



「ぁ…っ!」

息を乱す私は、小さく声を漏らす。



気づいてしまった…

今のは、いつもとは違う“口付けだった”と。



みるみるうちに顔に熱が溜まっていく。

17話:夜風にあたったなら2→←16話:船の中で呼び出されたら4



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設定タグ:マギ , 煌帝国 , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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ミヅキ(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 読んで下さりありがとうございます(≧∀≦)♪ (2016年7月4日 21時) (レス) id: f8d14255d8 (このIDを非表示/違反報告)
凰朧月鬼華(プロフ) - (´つヮ⊂)ウオォォwwww (2016年6月27日 15時) (レス) id: 6873cb50aa (このIDを非表示/違反報告)
ミヅキ(プロフ) - Rainyんぼ(*’▽’)さん» お返事遅くなって申し訳ないです!そう言って頂けて光栄です♪ノロノロ更新ですが、よろしくお願いします(*^^*) (2016年6月23日 21時) (レス) id: 7de071f674 (このIDを非表示/違反報告)
Rainyんぼ(*’▽’) - はまりました。更新楽しみにしています! (2016年6月21日 20時) (レス) id: 7bd6c0a158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヅキ(プロフ) - 名無しの猫さん» 嬉しいです(∩´∀`∩)キャー♪ありがとうございます! (2014年8月5日 16時) (レス) id: c07fa541ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミヅキ | 作成日時:2014年6月1日 11時

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