15話:遠征に付いて行く事になったら1 ページ36
穏やかな波。
気持ちの良い風。
眩しい太陽。
頭上を鳥たちが気持ちよさそうに飛び回っている。
そんな中、『煌』と書かれた帆が風の強弱によって揺れていた。
船酔いの心配もない、心地よい船の甲板の上。
私は手すりに寄りかかって頬杖を付く。
「まだむくれているのか」
不意に、後ろから正装した服に身を包んだ紅炎様に腕を組んで話しかけられる。
重そうな身なりをしている彼に、とりあえず姿勢を正した。
「何でダメなんですか」
少しぶっきら棒に問いかければ、この前と同じ返事が帰ってくる。
「必要ないからだ」
“弓矢を持たせてください”と言ったのが始まりだった。
なぜそんなことを言いだしたのか。
一番の理由は“バルバッドに長期滞在することになっている”と聞きかされたことがきっかけだ。
こう見えて、私は自分の弓矢を持っている。
とは言っても元々、兄が所持ししていた物を譲り受けただけである。
貿易船で船旅をしている以上、南海生物に遭遇することはよくあること。
私だって何度も遭遇したものだ。
シンドリア周辺は八人将と呼ばれる人たちがいて、守ってくれるから何も問題はなかったが、他はそういう訳にはいかない。
南海の海から迷い込んできたそれらから自分たちの身を守る為、私は兄の真似をして頑固な父に何度も教えを請うた。
だから初心者というわけではない。
かと言って、上手というわけでもない。
別に、兵士の方々が沢山いるから私がそれを振るう必要はないんだけど…
長期滞在するなら自分の目の届く範囲に置いておきたい。
それに、もしも何かがあったときは自分の身は自分で守らなくちゃ。
きっと、訳あり女官の私のことなんて誰も助けてはくれないだろう。
あの弓矢は持っているだけで兄が側にいる気がするような、言わばお守りのような存在だった。
だから煌帝国に許可をとって、保管してもらっていた自分の弓矢をバルバッドへ持っていきたい。
そう言っただけなのに、この皇子ときたらダメだの一点張りである。
15話:遠征に付いて行く事になったら2→←14話:遠征宣言されたら2
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ミヅキ(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 読んで下さりありがとうございます(≧∀≦)♪ (2016年7月4日 21時) (レス) id: f8d14255d8 (このIDを非表示/違反報告)
凰朧月鬼華(プロフ) - (´つヮ⊂)ウオォォwwww (2016年6月27日 15時) (レス) id: 6873cb50aa (このIDを非表示/違反報告)
ミヅキ(プロフ) - Rainyんぼ(*’▽’)さん» お返事遅くなって申し訳ないです!そう言って頂けて光栄です♪ノロノロ更新ですが、よろしくお願いします(*^^*) (2016年6月23日 21時) (レス) id: 7de071f674 (このIDを非表示/違反報告)
Rainyんぼ(*’▽’) - はまりました。更新楽しみにしています! (2016年6月21日 20時) (レス) id: 7bd6c0a158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヅキ(プロフ) - 名無しの猫さん» 嬉しいです(∩´∀`∩)キャー♪ありがとうございます! (2014年8月5日 16時) (レス) id: c07fa541ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミヅキ | 作成日時:2014年6月1日 11時