9話:私をかばったら2 ページ22
「紅炎様、申し訳御座いませんでした。どうか御無礼をお許し下さい」
ソファーから降りた私は床に膝をついた。
紅炎様が兵士たちから庇って下さったとは言え、私が平手打ちをした事実は消えない。
何を言われても、文句は言えない。
ギュッと目を瞑って身構える。
「もう良い」
「で、ですが、私は…!」
一方に引かない私に、紅炎様がため息を漏らす。
「同じ事を言わせるな」
「………わかりました」
あまり納得出来ないけれど、これ以上彼の機嫌を損ねる訳にはいかない。
それに、あんなことをしてしまった後だ。
このお部屋にだって、居づらい。
そう思った私は羽織らされていた煌びやかな上着を脱いだ。
そんな私の行動に、疑問を抱いた紅炎様が問いかけてくる。
「何をしている」
「私、自分の部屋に戻ります」
そう言って、脱いだばかりの細かな刺繍の入ったそれを紅炎様に差し出す。
「だから、これはお返し致します」
いつも寝る時の楽な服装になった私は、真っ直ぐに彼を見つめてそう告げた。
「本当にいいのだな?」
「元々、私のものでは御座いませんから」
「…そうか」
「おやすみなさいませ、紅炎様。では、失礼致します」
挨拶を済ませて、部屋を出ていこうと扉に近づいた時だった。
「おい、待て」
呼ばれて振り返る。
「何か御用でしょうか?」
「誰が、いつ、部屋に帰れると言った?」
「えっ?」
どういう意味か分からずに首を傾げる。
「あの、紅炎様?私は“部屋に戻ります”と言ってその上着をお返ししたのですよ?」
「確かに受け取った」
「でしたら、…………!!」
そこまで言って気が付く。
確かに「本当にいいのだな」とは尋ねられた。
しかし、少々いじわるな紅炎様のことだ。
あれは“上着を返却することに対して”だったのではないか?
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ミヅキ(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 読んで下さりありがとうございます(≧∀≦)♪ (2016年7月4日 21時) (レス) id: f8d14255d8 (このIDを非表示/違反報告)
凰朧月鬼華(プロフ) - (´つヮ⊂)ウオォォwwww (2016年6月27日 15時) (レス) id: 6873cb50aa (このIDを非表示/違反報告)
ミヅキ(プロフ) - Rainyんぼ(*’▽’)さん» お返事遅くなって申し訳ないです!そう言って頂けて光栄です♪ノロノロ更新ですが、よろしくお願いします(*^^*) (2016年6月23日 21時) (レス) id: 7de071f674 (このIDを非表示/違反報告)
Rainyんぼ(*’▽’) - はまりました。更新楽しみにしています! (2016年6月21日 20時) (レス) id: 7bd6c0a158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヅキ(プロフ) - 名無しの猫さん» 嬉しいです(∩´∀`∩)キャー♪ありがとうございます! (2014年8月5日 16時) (レス) id: c07fa541ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミヅキ | 作成日時:2014年6月1日 11時