第三夜 『Silver』 ページ17
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なんとなく、繋いだ手。
少しだけ冷たかった、君の手。
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紅葉舞う季節。
今は伸ばした手の先に、君の少し冷たい手はない。
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＊「つぶぐみ」
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ガタンゴトン、と揺れる鉄の塊。
コテン、と額を窓にくっつけながら移り変わる景色をぼんやりと座りながら眺めていたら
ふと真正面から聞こえた、可愛らしい声。
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ん？と振り向くと、真正面の座席にはキャップを被ってる小学一年生ぐらいの男の子がこっちを指差して
その男の子を「指ささないの」と嗜める母親。
お母さんと目が合うと、「すみません」と申し訳なさそうにペコペコと頭を下げてくる。
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智「これ、食べたいの？」
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右手に持っていた、今朝コンビニで買ったグミを指さす。
男の子はこくん、と首がもげてしまうほど縦に振って。
「いいよ、おいで」と微笑むとぱああっと顔が明るくなって俺の横に座る。
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○「ユウキ！…もう、すみません、いいんですか？」
智「いえ。大丈夫です、むしろ多くて食い切れないなって困ってたところなんで」
ユウキ「ありがとー、おにーちゃん！」
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嬉しそうにグミをパクパク食べてるユウキくん、と呼ばれた男の子。
そんな男の子を嬉しそうに眺めるお母さん。
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田舎の電車。この車両に乗ってるのは、俺とこの親子と一番奥に座ってるおばあさんだけ。
窓の外は、もはや森と呼んでいいほどの雑木林。
そこに少しだけ混じる、紅。
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もう秋。肌寒い風が夏の終わりを呼んで来た。
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ユウキ「おにーちゃん、ママと同じのつけてる」
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とん、と小さな手が俺の左手を包む。
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智「同じのに見えるけど、ママとは同じじゃないんだよ」
ユウキ「そうなの？」
智「そう。ママと同じのは、パパがつけてない？」
ユウキ「つけてる！」
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きゃっきゃっと喜ぶユウキくんは、純真無垢。
まるで
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ーーーー…まるで。
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ユウキ「じゃあ、おにーちゃんもママいるの？」
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『大野さん！』
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まるで、あの子のようだと思った。
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智「つぶぐみ、全部あげるよ」
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