【07】 ページ16
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結婚とは、妥協である。
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永原「今日、高校の友達と会うんだっけ？」
「うん」
永原「わかった。夜は？」
「夜は帰るよ。」
永原「じゃあ外で食お。疲れるだろうし。気をつけてな、楽しんでこいよ」
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世の中にそんな言葉があった気がする。
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あれから。私は少しのおつきあいを経て、永原と結婚をした。
披露宴もそれなりのところでして、旅行だってした。
いいマンションに住んで、永原は出世コースに乗っていた人だったので彼は本社勤となった。
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私は仕事が好きだったので専業主婦になることはしなかった。
周りからはいい旦那捕まえやがって、と色々言われた。確かに彼はいい人すぎる。結婚するならたまらない物件だ。
結婚した後でも私を大事にしてくれて、好きだと慕ってくれる。慈しみ、ってやつを向けてくれる。
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私も彼が好きだ。好きだけど。
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雅紀『Aさーーーーーーん！』
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ぶんぶん、と大きく手を振って駆け寄って来てくれるあの光景が頭の隅っこでキラリと輝くのはなぜだろう。
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私は相葉くんのことを忘れられるのだろうか？
私は
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彼をもういらない、と捨てることができるのだろうか。
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「楽しかった！またねー！」
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久しぶりに高校時代の友達と集まって、ワイワイランチ。
結婚してる人が大半で、中には子供が出来てる人だっていた。
その中でも「Aはホント、いい人捕まえたよ」とおきまりの文句。
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こんなに言われるんだから、相当いい人を捕まえたんだろう。
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「…あ、雨。」
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ぽつ、と頬にあたった雨。まだ本降りじゃない。早く帰らなきゃ。
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どすん。
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「ーーーー…あっ、ごめんなさ…」
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出会いは漫画のようだった。
別れも漫画のようだった。
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再会も、漫画のようだったのかもしれない。
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ふわふわしてる茶色い髪。
くりくりと大きな瞳。
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雨が降る。
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「あいばくーーーーー…」
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君をいらないと言える日は、きっと来ない。
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お互いの薬指から、何かが落ちる音がした。
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『君をいらないと言える日まで』fin.
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