返事は待ってて。【衣更真緒】 (ページ15)

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芸能界ページ15

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衣更side

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演劇が終わっても、俺は席を立てなかった。

「ま〜くん？終わったよ？」

「あ、ああ、ちょっと、余韻がすごくてな･･･」

俺は終始圧倒され続けていた。

演者のレベルが高いのはもちろん、効果音のタイミングも曲の選曲も全部良かった。あのキスシーンだって、見るのもちょっと恥ずかしかったけどAが醍醐味って言う意味もわかる気がする。

あの生々しさというか、あえて隠さずにやるのがすげぇってなった。異性だったら絶対できないもんな。

はぁー、久しぶりだったけど見れてよかった。面白いな。演劇って。

これがテレビに映るんだもんな。絶対録画しよ。

「あ、A降りてきたよ」

「えっ！どこどこ？」

「ほらあそこ」

凛月が指さしたところを見るとそこにはスーツ姿の人とAが居た。

話してるのはAの知り合いかなんかか？

「絡まれてるけど。助けに行ったら？好感度爆上がりかもよ」

「言われなくても行くっつの！」

俺はAのところに駆け寄って行った。

「すみませーん！こいつに何か用ですか？」

「ん？君は何かな？」

「俺、Trickstarの衣更真緒です。一応Aとは友人でして･･･」

『衣更、来てくれて助かるよ。ちょっと困ってて』

好きな人から頼られるのってこんな嬉しいのか。

「何話してたんだ？」

『この人子役の時の私を知ってるみたいで、あの時をもう一度！って言って事務所に勧誘してくるの』

あー、まだダメだもんな。芸能界に復帰する気はないみたいだし。

「すみませんが、お引き取り願いますか？本人はまだ復帰する気はないみたいなので･･･」

「やっぱりそうなんだね。でももし復帰する気があれば、名刺を渡したからそこに連絡してほしいな」

やっぱり･･･？

『はい･･･』

「あの、やっぱりって？」

「知らない？一時休止の機関が長すぎてもう復帰しないんじゃないかってネットで騒がれてるよ。でもこのテレビが流れたら、荒れるだろうね」

スーツの人はそれじゃ、と言って帰っていった。

『芸能界かぁ･･･』

Aは渡されていた名刺を見て呟いた。