八話 ページ9
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「なるほどなー。それで、話戻すけど、奏汰ちんに用なら俺が伝えとくぞ？」
『いや、伝言したいわけじゃないので。ありがとうございます』
どこにいるんだ？深海先輩。
他に行きそうな所とかわかんないけど。
「うーん、奏汰ちんならもしかすると噴水に行ってるかもしれないな」
『噴水？』
「あぁ、あの人よく噴水でぷかぷかしてますよね」
昼休みに噴水に行くってなんで？海洋生物部だから？
ぷかぷかしてるって何？動詞として使うの？それ。
…………あ、部室にいる魚を噴水に解き放つことでのびのびと泳がせてるとか？
「多分四宮の考えは違うと思うぞ」
『えっ怖』
何こいつエスパーなの？そんなにわかりやすい顔してたっけ？
『でもとりあえず、行ってみなきゃわかんないですよね』
「えっ、ガチで言ってるのか？」
「こいつ嘘下手なんで本気ですよに〜ちゃん」
噴水に行くだけなのに何をそんなに驚いているのか。
見るだけ見ていなければ帰ってくればいいしね！
私はスタコラサッサと噴水の方へ走り出した。
「奏汰ちんに引きづられないようにするんりゃろ！」
「に〜ちゃん、アイツもう行っちゃいましたよ」
「！？ 早すぎらろ！」
・
急ぐ必要もなかったけど、何となく走って噴水のとこまで来た。
近くまで行っても、深海先輩の姿は見えなかったため、すれ違いしちゃったなぁと、休憩のために噴水の縁に座った瞬間。
「おやぁ？『ゆうれいぶいん』さんではありませんか？」
後ろから声が聞こえてきた。
バッ！と後ろを見ても、そこには誰もいなくて。
「ゆうれいぶいんさんも、『いっしょに』ぷかぷか、しましょう？」
しかし、声はまた同じところから聞こえてきた。
ちょっと待ってシャレにならないってこれ。こういうの苦手なんだって！
幽霊に幽霊部員とか言われてるんだけど！幽霊ギャグ！？
「むむむ。ぼくは『こっち』ですよ〜」
痺れを切らした幽霊が、後ろから手を伸ばしてきた。
そこで私は噴水にドボン。
本気で死んだと思った。
「ふふふ。『いっしょに』ぷかぷかしましょうね〜」
でも、私が目にしたのは何故か髪が濡れている水色髪の人だった。
『て、天国？』
「？ ここはどうみても『てんごく』ではありませんよ？みずで『あたま』をひやしてください」
バシャッと、結構な量の水をかけられる。
ここでやっと、私は全身ずぶ濡れだということを認識した｡
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作者名：さかな | 作成日時：2023年10月23日 21時
