二十七話 ページ28
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『あれ、昨日ぶりですね』
｢そうだね。Aちゃんのこと探してたんだよ｣
部活が終わり、部室の鍵を返しに行く途中で、またあんず先輩と出会った。
私のことを探していたということは、また昨日と同じく人探しをしろということだろうか。
『今回も人探しですか？』
｢人探しじゃないよ｣
いつものニコニコ笑顔で私の腕をガシッと掴む。
『え』
私の勘が言っている。
嫌な予感しかしない、と。
｢今日は流星隊だよ。同学年の子が多いからやりやすいんじゃないかな？｣
『ちょちょちょ！夏休みにもレッスン見学あるなんて聞いてないですって！！』
同学年の子が多いからやりやすいんじゃないかな？じゃないんですよ！！
そんなのはどうでも良くてなんで夏休みによく分からないもの見なくちゃならないんだってば！
｢夏休みにもライブがあるのは知ってるよね？｣
『それは、はい。この前のUNDEADのライブに参加しましたから』
｢ライブは一発本番じゃないんだよ。ここまで言えば、わかるかな？｣
………あー、つまり？
『ライブをやるためにはレッスンをしなきゃだから、必然的にレッスン見学もある、と？』
｢正解！ちなみにこのドアを開ければみんながいるよ｣
今日部活がなければ……こんなことにはならずにずっと家にいたのに……。
｢お！四宮も一緒なのか！！｣
｢クラスメイトに見られながらやるとか最悪すぎる……｣
扉開けた時に色がいっぱい入ってくるなー。
うわ、てか流星隊って深海先輩いるじゃん。私があの時からちょっとトラウマになってる人。
｢『ゆうれいぶいん』さんじゃありませんか〜。おひさしぶりですね？｣
信頼は持っていると言ったがトラウマは別だ。
あの日のことが鮮明に思い出されていく。
｢………俺の後ろに隠れてなにやってんスか？｣
『また噴水に落とされたらたまったもんじゃないから……』
｢噴水がないのにどうやって落とすんスか｣
わかんないでしょ！この人なら何もないとこから水を生み出してそうだし！
｢しつれいですね〜。おそっちゃいますよ？｣
『命だけはご勘弁を…！』
｢奏汰、からかうのもそこら辺にしといてやれ。四宮が怖がっている｣
ずっとニコニコ笑っているものだから冗談なのか本気なのかが全くわからん。
なんならちょっと本気で言ってる気がしなくもない。
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作者名：さかな | 作成日時：2023年10月23日 21時
