夢なんてあるわけない【羽風薫】 (ページ21)

今日:36 hit、昨日:28 hit、合計:9,176 hit

二十話ページ21

・

ついに夏休みに入った。

私は今海洋生物部の活動として魚に餌を与えているところだ。

ほぼほぼ何も分からないまま夏休みを迎えてしまったが、深海先輩からマニュアルを貰ったのでそれ通りに飼育している。

マニュアルを貰った時の安心感やばかった。

それまでどの魚にはこれとか人のやつ見ながらじゃないとできなかったし。

深海先輩には水ぶっかけられたけどそれを上回る位の信頼を持ってる。あとなんか完全に見た目でしか判断してないけど安心できる顔してる。

『んー、よし！』

今日の分はもう終わり〜。

明日は餌やるのと、水槽を洗おうかな。

夏休み前から何回か部室に入って水槽を眺めてたけど、今ではもう魚に愛着が湧いている。

だって幽霊部員だったのが半人半霊部員みたいになってるし。

後片付けをして、鍵をかけて扉を閉めた。

鍵返さなきゃ。

クルクルと指で鍵を回しながら、職員室へと向かう。

廊下を歩いて、外から聞こえてくるのは様々な音楽達。

外ではライブをしていたり、そのための練習だったり。

この雰囲気というかBGMが、なんとなく好きだったりする。

私がそこに直接関わることなんて、一生来ないけど。

『鍵返しに来ました〜』

｢お、ちょうどいい所に来たな｣

お、ちょっと嫌な予感がするな？

『なんでしょうか』

｢この資料を、生徒会室に持ってってくれないか？｣

ポンポンと軽く手を叩いたとこにあるのは、恐らく資料が入ってるであろうダンボール。

『えぇー？』

｢ほら、行った行った｣

佐賀美先生は相変わらず適当な人だなぁ。

私は、今度は鍵じゃなくダンボールを持って職員室を退出した。

………流石にダンボールを指で回すなんてできないからね。

生徒会室なんて入ったことないんだけど〜？

同学年の姫宮しかまともに喋れないって。

生徒会長なんかいたらどうするよ？立ってることしか出来ないよ。

しかもこのダンボール結構重いしー。

何が入ってるのやら。