十八話 ページ19
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｢改めて自己紹介しますね。朱桜司と申します。ぜひ司とお呼びください♪｣
『四宮Aです。よろしくね朱桜』
一瞬ムッとした顔をしたが、すぐに戻って………はないな。
素直というか、顔に出やすいタイプだ。
｢それじゃ、レッスンを始めてください｣
あんず先輩の一言で、全員が定位置に着いた。
瀬名先輩は教える側のようで、3対1の構図ができあがる。
私とあんず先輩は壁際にそって2人並んで床に座っている。
私は……何をすればいいだろう。
とりあえず、あんず先輩のこと見てたら何かわかるかな。
先輩の目線とかでどこを見てるのかがわかるかも。
｢休憩〜｣
瀬名先輩の掛け声で、それぞれが水分やタオルを取りに壁際に寄ってくる。
うーん、いつも通り全くわかんなかった。
あんず先輩のこと見てても目がすごい動いてるってことしかわかんないや。
｢ちょっとあんた｣
『へ、私ですか？』
｢そーだよ。あんたさっきからなんであんずの顔ばっか見てんの？意味わかんないんだけど｣
嘘、バレてたの？
｢プロデューサーなら俺らのこと見てなよ。あんず見て何か分かったの？｣
『いや、特になにも……』
｢だろうねぇ。休憩明けはあんずじゃなくて俺らを見てな｣
先輩らを見てもわかんないからあんず先輩を見てたんだけど……。
『承知しました〜』
ふん、と鼻を鳴らして瀬名先輩は水分を取りに行った。
｢私も気になってたんだよね｣
『何がですか？』
｢何でAちゃんが私のこと見てるのか｣
考えても分からなくてさ、なんてあんず先輩は言葉をこぼした。
『あんず先輩を見てたら何かわかるんじゃないかなぁと。結局同じ結果でしたけどね』
｢ちょっと恥ずかしかったんだよ？ずーっと見られてるからさ｣
最後の方照れてたのはそういう意味だったんだ。
『んふふ。可愛いですね、先輩』
思ったことを言っただけなのに、先輩は先程よりももっと顔を赤くさせた。
｢………Aちゃん、人たらしでしょ｣
『ええ？それ、羽風先輩にも言われましたけど、そんなことないですよ』
素直な性格なだけです。
再度、練習を再開した先輩たちを見ていると、Knightsなだけあってウインクなどのファンサが多かった気がする。
気がするだけであって、実はそうでも無いかもしれないけど。
もしかしたらこれが、表情管理というやつ？
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作者名：さかな | 作成日時：2023年10月23日 21時
