十五話 ページ16
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｢じゃあこれで俺らは帰るぞ！羽風、一緒に帰ろうじゃないか！！｣
｢んー、いや、守沢くんは先帰ってて｣
羽風先輩が断りを入れると、そうか！と言って守沢先輩はスタスタと歩いていった。
『何かあるんですか？』
｢いやぁ、Aちゃんが守沢くんとばっか喋ってたから、ヤキモチみたいな？妬いちゃったな〜｣
ニッコニコで言ってる羽風先輩。
やり手だ。この人。
悔しいが少しドキッとした。
｢それよりさ、Aちゃんってヒーロー好きなんだね？｣
私がなんて返そうか迷ってるうちに、気まづくなったのか羽風先輩は話題を変えてきた。
『そうですね』
｢それってなんで？｣
なんで、と言われても、どう言ったらいいものか。
『なんと言うか、尊敬できるからですかね』
｢尊敬？｣
『はい。ヒーローっていつも賞賛されてて、いいなぁと。後、人のためだからって命かけれるとこもかっこいいですよね。私にはできないです』
別に、今まで褒められてこなかった訳では無いけど、ヒーローみたいにいつも賞賛される人でありたいとは思う。
欲張りかもしれないけれど。
｢へぇ｣
『………ちゃんと聞いてますか？』
｢聞いてるよー。あれ、あそこにいるのあんずちゃんじゃない？｣
うえっ、嘘！
｢やっほーあんずちゃん。俺に何か用？｣
｢羽風先輩こんにちは。羽風先輩ではなくAちゃんに用があるんですけど……いますか？｣
｢Aちゃんなら俺の目の前にいるよ｣
羽風先輩がそう言うと、あんず先輩は確認するために教室の窓を覗いた。
『はは……あんず先輩こんにちは』
｢ふふふ。こんにちは｣
怖。その笑い方怖。
｢あんずちゃんはAちゃんになんの用なの？｣
｢Aちゃんに、２週に一回くらいは各アイドルを一緒に回ってプロデュースの勉強をしようと誘ってるんですけど……｣
誘い？誘いだったんですかあれ。
『私が面倒で逃げてたら、ついには昼休みにまで来るようになってしまって』
いつも放課後ばっかだったから、この時間だけは大丈夫だと思ってたのに。
｢へー、そんなことしてたんだね｣
｢1回だけはやったんですけど、それっきりで｣
見るだけ見ようと思ってやったけど、なんも分からんかった。
『難しいんですもん。色々と』
ダンスができてるできてないとか表情管理がやれてるやれてないとか見分けられない。
何が違うのか分からないもん。
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作者名：さかな | 作成日時：2023年10月23日 21時
