夢なんてあるわけない【羽風薫】 (ページ11)

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十話ページ11

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羽風先輩の電話番号をもらい、夜。

宣言通りちゃんと登録もしてある。

これは偏見に近いけど、羽風先輩って夜になったら色んな女の子と電話してそう。

アイドルよりホストとかの方が向いてそうだし。絶対ナンバーワン取れる。

明日の課題とかあったような気もするけど、多分学校でもできるやつだしやらなくても平気。

もし無理だったら………真白に見せてもらうし。

すると、机に置いていたスマホがブルブルと震える。

もちろん相手は羽風先輩。

1コール目で出るのもなんか楽しみにしてたみたいなかんじがするので、数コール鳴ってから電話に出た。

「わ、ほんとに出てくれたんだ」

『なんですか？その言い草は。約束くらい守りますよ』

私がまるで嘘をついているかのように言っちゃって。

遠慮なくどうぞって言ったのに。

「ごめんごめん！許してくれる？」

『髪乾かしてくれたんで許しますけどね』

自分でもできる。とは言わなかったけど、実際ありがたかったし。

それに、保健室にドライヤーがあるなんて知りもしなかったので、羽風先輩がいなけりゃ濡れたまま授業に参加するところだったし。

「あの時大丈夫だったの？俺が見た時は2人ともびしょ濡れだったけど」

『私は大丈夫じゃないですけど、深海先輩っていつもあんな感じなんですか？私、名前と少ししか話したことなかったんで初めて見たんですけど』

「奏汰くんはいつもあんなんだよ。冬場とかはさすがに止めてるけどね。でも、奏汰くんよく噂されてるのに知らなかったの？」

噴水に引きづりこんでくる噂なんて聞いたことない。

『あ、でも』

「んー？」

確か最初の方に南雲が言ってた気がするな。

『南雲が、深海先輩は水があればとことん入る変人だって言ってました。カッパみたいだとも』

｢あはは。確かにカッパみたいかも。水分がなくなったらあの子しんどそうにするし｣

もしかして、人間ではない何かなのかな。