宮田くんと玉森くん (ページ7)

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ある日の放課後。

苦手な数学で居残りになった俺は一人、教室で補習を受けていた。

宮田は“終わるまで待ってる”と言ってくれたけど、
数学担当藤ヶ谷先生の顔を見る限り、思った以上に長引くと予想されたので、申し訳なさも勝り先に帰ってもらった。

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開始20分、教室の空気が重い。

俺の前にいる藤ヶ谷先生ことガヤは、何とも険しい表情を浮かべながら答案用紙と俺の顔を交互に見ては、

ようやく重い口を開いた。

『数学苦手なんだったら何で寝ちゃうの？
ここ、この前復習したところだよね？この前と全く同じミスしてるけど……』

これでもかというほど大きなため息をついたガヤ。

そんなガヤの様子に、思わずこっちもため息をついた。

「だって意味分かんない記号とか数字がいっぱいで、難しすぎてわかんないんだもん。…それに、ガヤの不機嫌な顔見たらもっと嫌になっちゃう。そんな顔しないでよ、せっかくのイケメンが台無しだよー？」
　

もう早く終わらせたくて、お得意の上目遣いと
とびっきりの喜ばせる言葉を並べれば、ガヤは根負けしたようで、いとも簡単に表情を緩ませた。

『…ったくしょうがねぇな。じゃあ今日はこの辺にしといてやる。そのかわり次までには出来るようにしておくこと。
次先生の授業で今日みたいに寝てたら覚悟しておくこと。わかった？』

…ふふ、作戦成功したみたい。

俺に甘いふじがやせんせー。

「はぁーい。」

ゆるーい返事をするとガヤは席から立ち上がり、教室から出ていこうとする。

そして扉を閉める直前振り返って、

『玉森、もうあんまそういう事すんなよ。』

と、余裕のない表情と、そんなセリフを吐き捨てていった。