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『玉森くんっ!』
ある日、いつものように宮田と肩を並べて廊下を歩いていたら、後ろから不意に呼び止められた。
振り返れば見た事もない小柄の女子が、小走りで駆け寄ってきた。
『あのこれっ…家庭科の授業でクッキー焼いたんです。
良かったら食べてくださいっ!』
頬をほんのりと赤く染め、照れくさそうにクッキーの入った小袋を俺に手渡すと返事をする暇も与えてくれず、その子はすぐに走っていってしまった。
よく見ると小袋の中にはクッキーと、小さく折り畳まれた手紙が入っていた。
“明日の放課後 話したい事があります。
屋上で待ってます。 2年3組 〇〇 〇〇 ”
丁寧な字で書かれたメッセージとその子の名前。
今までロッカーにお菓子やら手紙やらを入れられた事はあるけれど、こうやって手渡しされたのは初めてだった。
『さっきの子誰?知り合い?』
いつもより少し低い声。
恐る恐る宮田の方を振り向けば、とびっきり不機嫌な顔をしている。
…久々に見たかも。宮田の拗ねた顔。
いつもはかっこよく決めてるのに、こういう時にだけ見せる幼い部分が俺は好きだ。
「んーん、知らない。てか面識ないのに話したい事って何だろーね。ごめんね宮田、明日の放課後一緒に帰れなくなっちゃった。」
俺の事で宮田が嫉妬してくれてる事が嬉しくて、
もっと意地悪したくなってしまう。
返ってくる言葉なんてわかっているのに。
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作者名:みやたま | 作成日時:2021年10月9日 1時