119話 ページ27
ニコニコと愛想の良い笑顔を浮かべる彼
零は細めていた目を閉じると小さく喉を鳴らした
「クックッ…、そうかえ。
ところで、お主はいいのかえ?
随分と急いで探していたようじゃったが。」
「っあー!!!そうだった!
まじで急がないと部長に締められる!
この教室開けるの、本当は無断なんすよ。
そこんとこ、よろしくお願いします!」
「よいよい。我輩は生徒会ではないしのう。」
では!と秋房は探しものを続行し、零はゆっくりと歩き始めた
「(隠れている割にはドアを開けたままかえ。
鈍感なのか阿呆なのか
それとも…)」
「あ、朔間先輩。ひとつ言い忘れたことがありました。」
後ろから呼び止める声がすると
零は振り返らずに脚を止めた
相手の顔は見えない
「白華蓮くんに付き纏うのは…
あー…いや、
うーーん…
彼に近づかないでほしい…かな。」
先ほどと打って変わって冷たい声であった
静かな廊下に響いた言葉に零は口を開いた
「お主、わざとじゃな。」
「本当は彼が迷惑してるんすよーなんて嫌な嘘をついてやろうと思ったんですけどね。
それは“僕”の美学に反します。
人を不快にさせるための虚言を吐くなど、いくら汚い仮面をかぶっているとはいえ許せませんから。
はぁ、僕のよくないところです。
計画よりも本質に目を向けるべきなのに。
仮面を被るとこうも見るものが狭くなるとは…反省です。
そんなことは置いといて…
どうやら朔間先輩は随分と白華くんを気にかけているようで。
正直、困ります。
彼に必要なのは貴方達ではないのですから。
紫咲くんも緋奈くんも…ね。
彼を輝かせてあげられるのは僕だけです。
彼の美しさを本当にわかっているのは僕なのだから。
白華くんを本当に思っていらっしゃるのであれば、どうかご理解いただきたい。」
喋り方も雰囲気も全く違くなったようだった
その変わりように零は特に何も反応することはなく
彼の話が終わればふっと笑った
「お主は蓮くんを孤立させたいというわけかえ?
随分と自己中心的で傲慢な考えじゃな。」
「僕は慎んでいるつもりですよ。
また、孤立というのも違います。
なぜなら、彼は孤高であるべきだから。そしてその隣には僕がいるべきだからです。」
「そこが傲慢だといっているんじゃ。」
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作者名:アニット9 | 作成日時:2022年12月25日 21時