94話 ページ2
燦々と照る太陽
じわじわと汗が滲む暑さの中
視界に広がるのは碧い海だった
「海だぁぁ!!!!」
麦わら帽子を押さえながらルイは叫んだ
後に続くように車から降りてきた遊莉は暑さに顔を歪めながらも後ろにいる蓮に手を差し伸べる
特別段差が高いわけでもないのだが、蓮はその手にそっと自身の手を乗せた
「蓮、日焼け止めは塗りましたか?」
『……うん…。』
そう言えばポフッと頭に帽子を乗せられる
長いツバの白い帽子だった
「これは僕からのプレゼントです。
蓮のことですから帽子を持ってきていないだろうと思いましてね。
フフ、ピッタリです♪」
ニコッと笑うと自分もグレーの帽子を被った
『……ありがと…ぅ……。』
「いいえ。」
「ねーねーぇ!!
いつになったら遊べる??」
「遊びに来たんじゃないですからね。
撮影が終わったらですよ。」
はぁーいと返事をするとルイはスマホを取り出し、撮影会を始めた
その様子を見てまったく…と呆れる遊莉
「Labyrinthの皆さーん、
こちらでーす!」
カメラマンらしき人が手招きをしている
その後ろには今回の撮影に同行してくれたあんずもいた
別の人と話し込んでいるらしく
その姿はすっかりプロデューサーである
撮影の準備が整うまで3人は設営された避暑地で待機していた
「んー♪
炭酸おいしぃー!」
氷でキンキンに冷やされた炭酸に震えるルイ
熱った体にキュッと喉が閉まるような刺激がたまらないのだ
「ほら!シロくんも飲んでぇ!」
隣に座る蓮にそう促すと遊莉もうんと頷く
「そうですね。しっかり水分補給しておいてください。
念のため、僕もドリンクを持参してきましたから。」
2人にそう言われ、蓮は手元のピンク色の飲み物に口をつける
シュワッと口の中で弾ける感覚は久しぶりで車の中でうつらうつらとしていた眠気が少し飛んだ気がした
「へぇ、シロくんのピンクで可愛い!
何味なのぉ??」
『……ん…。』
どうぞと言わんばかりに飲み物をルイに差し出した
「えっ!いいのぉ??ありがとぉ!」
「(…はぁ、それは関節キスですよ蓮。)」
あの男が見たらどんな顔をするかと遊莉は密かに思うのだった
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作者名:アニット9 | 作成日時:2022年12月25日 21時