【文スト】とある偽善者の物語。三頁目〜続出会い編〜【文豪ストレイドッグス】

第九十四話　葬儀屋の実力 ページ13

――中央庭園？――零side―― 一方そのころ




『さて―――』


覚決め開始から十分経過。

そろそろ動きがあってもおかしくはないか。




しかし――――

『異能者がいるとは。』



中央庭園。本来そこは洋風に仕立て上げられた花園のはずなのだが、
今は至る所に血液が飛び散り、地面にはほかの候補者たちが倒れていた。

そして

「おやおやおやおや。」


その中央には、少年が浮かんでいた。



「こんばんは、零嬢。開始して十二分で貴方が動くとは予想外ですねぇ。」

少年は、そっと地面に降り立つと、小生に向かって深々と頭を下げた。



『おや、そうかい？小生だって行動派だよ。
　それに、貴殿が動くのも珍しいじゃないかい。楓さん。』


それにしても、この数を数分でか。
厄介だな。

異能は極力使用したくはないし。そもそも異能者だとばれたくはない。



「それは失礼いたしました。それにしても、流石は候補第一位の方だ。」


「ここに来るまでに、何人殺ったんですか？」




『…………。二十三人、かな。早いこと終わらせたくてねぇ。』



その返答に驚いたのか、楓さんは少し目を開いた。




『だから。――――――――――――――そこをどけ。』


その言葉が、合図となった。



一気に体制を低くし、楓との距離を詰める。

銃を構える左手をつかみ、短剣で切りかかる。


だが、すんでのところで躱された。



だが。――――――――――予想通りだな。




躱したときに、脇腹の守備がなくなった。


一気に足で楓の脇腹を蹴り上げる。



「がっ……………………！！！！」




少しばかりめり込ませたためか、痛みに慣れていない楓の体は、あっけなく倒れる。


そして、麻酔を仕込んである短剣で少し切り傷をつけた。

楓は一瞬目を見開いたが、すぐに気を失った。



『はぁ…………。いきなり候補第八位が動くとか聞いてないよ。』


しっかし、第八位も異能持ちか。幻覚系だろうし。

戦闘時に使えないってことは発現してまだ日が浅いのか。
そもそも戦闘技術が皆無だな。こいつは絶対に頭脳派だ。そして遠距離。



まあいいか。






―――――――――ザザッ、覚決め候補者は、残り三十九名となりました――――――――



――――――四十名以下となりましたので、時間制限を設けます――――――――



―――――――――――残り、一時間。それでは皆様、ご武運を――――――――





nextTim．

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