気付いた想い ページ12
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__次の日から、冨岡さんは来なかった。
昼も夜も呼ばれなくなった。
もう10日が経過した。
私には前みたいに普通な暮らしが戻って来ていた。朝、電車に乗って、昼、炭治郎達とご飯を食べて、夜、電車に乗って帰る。
当たり前の暮らしなはずなのに、どこか寂しくて、どこか苦しかった。
いつもメッセージのところに「会いたいです」とうっては消し、送信できず。
「………義勇さん。」
私は後悔してます。
今更、気づきました。あなたへの想い。
会えない時間は辛いもので、あなたといる時間が恋しいんです。
「…A、」
「…!」
全然前も見ずにエレベーター乗ってたから気付かなかったけど、後ろにいた見慣れた男性が目を見開いたようにこちらを見る。
「…。」
義勇さんは止まったエレベーターを無視して、最上階のボタンを押す。エレベーターはどんどん上へと登って行き、最上階に到着。
そして社長室へ私の腕を引きながら入った。
「ちょ!義勇さん!」
「…すまない。」
私が少し大きめな声で言うと、ビックリしたように腕を離す。
「……Aに、会わないようにしていたんだ。」
「…!」
薄々それは気付いてた。きっと忙しいだけじゃないって。でもいざ面と向かって言われると胸が痛い。
「10日前から母親が帰ってきていた。」
義勇さんがポツリ、ポツリと話し始めた。
「母親は政略結婚させるために帰ってきた。
俺はAが好き、でも母親はそんなのどうでも良い。」
「会社の未来の方が、大事だからだ。」
「だから俺は、Aを諦めようと必死になった。Aが俺のことを好きじゃないのなら、Aは他の人と幸せになってもらおうと。でも、そんなの出来っこなかった。」
「そしてさっき、Aが俺の名前を呼んでる姿を見た。やはり好きだと、愛おしいと認識した。」
義勇さんはポーカーフェイスで淡々と話す。平凡家庭な私からは想像もできないような話だった。
でも、彼の話から1つだけ。否定できることがあった。
「じゃあ、私が義勇さんを好きって言ったら
諦めるのを、諦めてくれますか?」
私が義勇さんを好きじゃないのなら、という理由で諦めたのなら。
「この期間、当たり前の日常が帰ってきたはずなのに、どこか寂しくて辛くて。
義勇さんと過ごした少しの間、私の中で大切な時間だった。
私は、義勇さんが____」
「______好きです。」
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にぃ - とても面白いしキュンキュンしました。これからも面白い作品作ってください。 (2020年8月23日 21時) (レス) id: e653c86382 (このIDを非表示/違反報告)
陽渚(プロフ) - 面白かったです!他の作品も読ませてもらってます!頑張ってください (2020年8月4日 22時) (レス) id: 0a67e21c60 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - Regulusさん» ありがとうございます!!そう言っていただけると心からかいてよかったなぁと思います!次回作も是非見てみてください!これからもよろしくお願いします! (2020年4月4日 22時) (レス) id: 2ea5b93c28 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - 完結おめでとうございます(*´▽`*)とても楽しませて頂きました!次回作も楽しみに待っていますo(*⌒―⌒*)o (2020年4月4日 14時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 月花さん» ありがとうございます!そう言っていただけると書いてよかったなぁと思います!本当にありがとうございました!! (2020年4月2日 23時) (レス) id: 2ea5b93c28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬん | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2020年3月27日 22時