【あんスタ】むかしむかしの御話 (ページ7)

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陸話ページ7

ひなた「じゃあ、俺たちの怪我を治癒してくれたのって」

ゆうた「紗凪ちゃん？」

あら、ゆうたくんが名前呼びしてくれてる。

「そうだけどさ…。あの酷い怪我って誰にやられたの？」

私がそう聞くと、2人は顔を伏せてしまった。

聞いちゃまずかったかなぁ。

「まぁ、いいや。それについては家に行ってから聞かせてもらうから！」

ひなた・ゆうた「「家？？」」

「なーんか、あなたたち事情がありそうだから一旦、私の家においでよ。って言っても、強引にでも連れてくけど」

私は立ち上がり、2人の腕を引っ張る。

2人はまだ混乱しているみたいだ。

「ほーら！早く立って！耳と尻尾はしまって！」

ぐいぐいと引っ張るが、2人とも立ち上がる気配が全く無い。

ひなた「駄目だよ、紗凪ちゃん」

「何が？」

ひなた「俺たちが人里に下りるなんて」

「なんで？」

ひなた「なんでって…」

ゆうた「俺たちが妖狐だから」

先ほどとは違い、低い声でゆうたくんが言う。

妖狐だからか…。

なるほど…。

「意味がわからない」

ひなた・ゆうた「「はぁ？」」

2人から素っ頓狂な声が上がる。

「あなたたちが妖狐だから？人じゃないから？そんなこと言ったら私も人里では暮らせない。神の使いだって人じゃない。でも、私は人里で暮らしている。周りの人は、全員が全員認めてくれるわけじゃない。だからって、誰も認めてくれないわけじゃないんだよ？あなたたちの場合は私とか！だーかーらー！さっさと家に行くよ！」

私がまた腕を引っ張ると、今度こそは2人とも立ち上がってくれた。

無言のままだけど、耳と尻尾もしまってくれた。

鼻をすする音が聞こえたのは私だけの秘密。