240メートルの誤算4【佐野玲於】

飲みなおし ページ9

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よく行く完全個室の店。
いつも通り裏口から入った。
角の個室、入ると、もうすでに女の子はふたりとも来てて。

「ごめんな〜遅なって！」
「全然！今来たとこだよね。」
「うん。」

さくらちゃんと目が合う。
大きな目。まつげ長い。かわいい。
アイドルなれそう。

「久しぶり玲於くん。」
「うん。」
「昨日ライン返せなくてごめんね、寝落ちしちゃった。」
「あーいいよ。」

俺らの会話聞いた龍友くん、めっちゃ仲良いやん！って茶化してきた。
うるせえなあほんと
このひとシラフでこのテンションだから困る。


適当に頼んで、適当な話しながら過ごした。
気付けばあっという間に2時間。
良い感じに酔ってきて、口も軽くなる。

龍友くんがカナちゃんばっかに話しかけてた。
カナちゃんも満更でもない感じ。
龍友くん、ふざけてるけど優しいからね。

こっそりスマホ取り出して、さくらちゃんにラインする。

[ さきに抜けよ、ふたりで ]

送っても、スマホ見ないさくらちゃん。
はやくみろって伝えたくて、足でこっそり爪先つついた。
俺の顔見て、ん？って。
す、ま、ほ、口パクするとやっと見てくれて。
あまり理解してないみたいだけど、うんって頷いた。

「…あー、俺とさくらちゃんちょっと抜けていい？」
「え、」
「ふたりで行きたいとこある。」
「うわ〜ほんま？いい？カナちゃん、俺とふたりで。」
「もちろん大丈夫。」
「よっしゃ。じゃー玲於ここは奢るわ。」
「マジ？あざっす。」
「任しとけ！」
「じゃあね。」
「送り狼なったあかんで〜」

余計なこと言うなよほんとに！
龍友くんのために気遣ってあげたのにさあ
いそいそと個室を出る。
さくらちゃんもついてきてくれた。

また裏口から出て、すぐの道でタクシーを拾った。
ふたりで乗り込む。

「ごめん突然。」
「え、なに…ふたりで行きたいとこ…？」
「あ、違うごめん、ごめんあの…龍友くんがカナちゃんをちょっと、」
「あー！なるほど、そういうことね。」
「うん。」
「…あー、えっと、じゃあ帰る？」
「そうっすね。」
「うん。わたし彼氏のとこ行くから、一緒の場所まで。」

わかったって返事して、運転手さんに住所を告げた。
…まだ22時にもなってない。
どうしよ、メンさんでも誘って飲みなおそっかな。
あ、でもあのひと明日早いって言ってたか。
…うーん

「…あのさーさくらちゃん。」
「なに？」
「飲みなおさない？俺んちでもいいけど。」


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