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缶ビール ページ31

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「玲於くんの失恋に乾杯〜!」

ソファーに座って早々
持ってたコンビニの袋から缶ビール取り出して
高い声でそう言うさくらちゃん。
呆然とその姿を見つめる。

「ほら落ち込んでる時間勿体ないよ!飲もう〜ケーキもあるし!」
「…いや、ちょあの…」
「ビールでいい?酎ハイもあるよ。果実酎ハイ、これ美味しいよ。」
「……。」

…勢いがすげぇ。
とりあえず強制的に乾杯させられて、流れでひとくち酎ハイを飲んだ。
甘い香りがアルコールと混じって鼻を抜け、思わずけほって咳き込む。

「大丈夫?」
「…あのさ、ごめん、俺別に振られてないっつーか…」
「…え?」
「いやあのね、」
「より戻した?…わたし帰った方がいい?」


お前は話を聞け!って、軽く叩いた。
さくらちゃん、目おっきく開いて俺のこと見てる。


「…そもそも、言ってない。より戻したいって。」
「…え、なんで…」
「途中で電話切られたし、」
「えぇ。」
「……ていうか、真逆のこと言おうとしてた。」
「…真逆…?」
「…合鍵返しに行くって、言おうと思ってて。」


途端に、空気が張り詰めた。
さくらちゃんは黙ったまま、手元の缶ビールを見つめてる。


「…さくらちゃんなら分かってくれるかなって、思ってんだけど…」
「……分かるよって、言いたい気持ちは山々。」
「……。」
「…でも、言う前に、玲於くんとAちゃんのこと、教えてもらってもいいかな。嫌なら全然、良いんだけど。」
「俺とAのこと?」
「うん。…付き合う前のこととか、4年間の色んなこと。それ知らずに、わたし何も言えない。」


真剣な目。
なるべく思い出さないようにしてたこと
少しずつ呼び戻して
長くなるよって前置きで、口を開いた。


「初めて会ったのは、Aの元彼が開いたアパレルショップで…ほんと、最悪だった。オープニングのパーティーでさ、酔っちゃって、俺。」
「うん。」
「店の端っこでさ、そん時全然知名度無かったせいで、メンタル的にも色々、疲れて…ソファーでため息ついてたら、偶然横にいたのが、A。」


ピンクのワンピース
シャンパングラスを、小さな手で持ってた。


「そのまま、だよ。分かるでしょ。」
「そうだったんだ…」
「…まあ勿論それだけのはずだったんだけどさ、なんかこう…なんだろ。忘れられないって言ったら聞こえ良いけど、…思い出しちゃって。」


今の俺があの頃に戻ったら
きっと、ほんとにそのまま終わってた。
他人で、いられた。


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きなこ(プロフ) - とっぽさん» お返事遅くなってごめんなさい!直近で言うと、ただいま初恋5「どうしよう」のページで、軽井沢でふたりで撮った写真とか、得意げなあの顔のイメージでした(^ ^) (2019年12月24日 13時) (レス) id: 1d09c43b5e (このIDを非表示/違反報告)
舞華(プロフ) - きなこさん!!!!私初めてワンミリのMV見たとき、それこそあの携帯見てるシーン見たとき、占ツク感が凄いって思いました本当に!!やっぱりきなこさんのお話読んでたからそう思ったんだと思いますそしてあれは実際にやってますね!笑笑きなこさんのお話ダイスキです! (2019年12月24日 13時) (レス) id: 689ff0d5f6 (このIDを非表示/違反報告)
とっぽ - 眉毛をちょっと上にあげて…という台詞は何のお話に出てくるのでしょうか…(;_;)教えてくださるとありがたいですm(_ _)m (2019年12月2日 21時) (レス) id: 3d038c663d (このIDを非表示/違反報告)
ゆいあ - きなこさん、最高です!!玲於くんの顔を想像しながら読んでいて、いつもドキドキです。今月のviviの雑誌の玲於くんもすごくかっこよかったですよ!よかったら見てみて下さい!!それから話おもろしかったですよ!ぐだぐだじゃないです!!更新待ってます。 (2019年12月1日 21時) (レス) id: a624d1b453 (このIDを非表示/違反報告)
ライ千(プロフ) - きなこさん、いつも楽しみに読ませて頂いてます。私もワンミリのMVを見た時、Mステで踊ってる玲於くんを見た時、あぁ、このお話に出てくる玲於くんだ....と思いながら一人でキュンキュンしてました(笑) (2019年12月1日 1時) (レス) id: a6fe8073c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2019年11月3日 22時

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