それは、突然の死 ページ2
Aside
ここはとある廃墟の内装を少し豪華に設計した、日本犯罪組織梵天のアジト本部である。幹部たちが集うこの場所に堂々と入れるのはきっと私くらいだろう。バン、と大きな音を立てて部屋に入る私に最初に声を掛けたのは、過去に“六本木のカリスマ兄弟”と謳われていたクレイジーブラザーズの灰谷蘭、灰谷竜胆だった。このクレイジーブラザーズに、何故か私は好かれている。ちなみに私は嫌いだ。そもそもここが犯罪組織の時点で私はこの人たちが嫌いだ。それでも私がここに来るのは、大切な幼馴染みのためだった。
「やっほーAチャン。俺今日何人も死体見たんだよね、慰めて?」
『あー、ハイ。オツカレサマデシタ』
「アハハ〜喧嘩売ってんの?」
後ろから顎をグイッと上げられ、そのアメジストよりも少し深い色をした瞳と目が合う。彼は面白いものを見るようにニヤニヤと笑っていたが、私は真顔で彼を見ていた。そもそも、私はコイツらに会うためにわざわざ足を運んだ訳ではない。幼馴染みである春千夜に“来い”と一言だけ添えられたメッセーを見てここに来たのだ。いつもなら一で返すと百で返ってくる彼が、初めて“来い”の二文字で私にメッセージを送ってきた。絶対何かがあるのは確実だろう。
私は蘭と竜胆に春千夜が何処に行ったのかを聞く。蘭曰く、彼は首領・佐野万次郎と共に出掛けたらしい。春千夜にとって佐野万次郎は絶対的存在。私はそれを理解して彼の傍にいた。しかし、彼と共にいながら何故あんな連絡を入れてきたのか、私には不思議で仕方なかった。
すると、がチャリとその扉が開く。私は後ろに蘭がいて誰が入ったのか確認出来なかったが、顎に当てられていた手はスっと降り、息を飲む音が聞こえた。それが蘭のものなのか竜胆のものなのかは分からなかったが、その場の空気が一変したのは確かだった。蘭に解放された私は、ゆっくりと後ろを振り返る。そこにいたのは、春千夜だった。でも、違う。何かが違う。
今、私たちの目の前にいる彼に“生”を感じなかった。
流石にいつもおちゃらけている蘭と竜胆も、そんな彼に何も言わなかった。私でさえ、今の彼に何か声を掛けようとは思わなかったのだ。私たちはこの静寂の中、春千夜が自分のタイミングで話し始めるのを待つ。そして、暫くして、春千夜はゆっくりと口を開いた。
「…んだ」
『え?』
「マイキーが、死んだ」
426人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひめ☆そら(プロフ) - 悠さん» ありがとうございます!私も梵天ifは見たことないなぁ…と思いながら作らせて頂きました!最後までどうぞよろしくお願い致します! (2021年9月3日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - 梵天でこういったifみたことなかったので楽しみです!更新待ってますね!!! (2021年9月3日 19時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ