十六 ページ16
「お稽古お疲れ様です。これ、莉花から差し入れです」
「おう!ありがとうな!」
昼、稽古の休憩の時間だ。
冬とはいえど彼らは稽古をしているのでとても暑そうだ。
「(土方君、筋肉凄いな...)」
近藤さんも勿論凄いのだけど、それと同じ位土方君のも凄かった。
土方君と目が合い、すぐに逸らすと土方君が私に話しかけた。
「おい、どうした?」
「えっ、な、何が?」
「俺の事見てなかったか?」
「あー...いや、その筋肉が凄いなって」
恥ずかしかった本音をつい言ってしまい、口を抑えたものの時すでに遅し。
土方君は目を逸らしてそうかよ、といった。
土方君が稽古部屋に戻ると、私は夕食の準備をするために食堂に向かった。
すると近藤さんのお父様が居た。
「A、話があるんだ。座れ」
「はい。」
内容は、彼等が武州を出たら、という話だった。
「道場を閉ざしたいんじゃ」
「閉ざす...?閉めるんですか?」
「まぁ、私も歳だからの」
「...そうですか」
そうしたら、私はこの先...どうしたら?
考えていると、お父様が喋った。
「勲達と仲がいい、莉花ちゃんとも話したんじゃ」
「莉花と?」
「おう。そしたら莉花ちゃんが私の家なら空き部屋があると言っておって、それでいいなら莉花ちゃんの家に住んでもらいたい。」
確かに、悪くは無い。
私は了承すると夕飯の仕事に戻った。
「寂しいな...」
やっぱり着いて行きたいな、とも思うがやっぱり辞めておこうと。
複雑な感情が募る中、夕飯の準備を終え稽古を見に行った。
「よし!これで終わりだ!」
みんなから見えない所で稽古を見ていた。
前までは近藤さんのお父様が稽古を仕切っていたが、近頃は近藤さんが仕切っている。
皆が帰った後、私も部屋に戻ろうと帰ろうとすると、稽古部屋からまだ音がした。
こっそり見ると、それは土方君が稽古をしている様子だった。
それを見て、思わず話しかけてしまった。
「土方君」
「...!」
びっくりした様子の土方君を見て、私は斜め下を見つめた。
「ごめん、邪魔だったね。何でもない」
土方君は竹刀を横にひと振りすると、私に手招きをした。
土方君の元に駆け寄ると、土方君が自分の竹刀を私には渡した。
「...え?」
「お前もやってみるか?」
私は頷き、稽古を始めた。
どうやら土方君が教えてくれるから、それを取り敢えずやってみろと。
「お前、どっかで習ってたのか?」
「ううん、何処でも」
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作者名:唐辛子の民 | 作成日時:2018年4月8日 19時