十五 ページ15
「私は行かないでおくよ」
「そうか」
足でまといになるだけだもの。
それに、貴方達の道を邪魔するなんて事は許されない。
「手紙くらい、頂戴ね?」
「たりめぇだ。」
月を見上げるとまだ満月には満たない月だった。
彼はずっと下を見つめていた。
私は服の下にあった紙紐を見つめた。
土方君の肩を優しく叩くと、腕を見せた。
「...まだ付けてたのか」
「勿論。土方君が
「そうか...」
また涙が出そうになった。
土方君の元気が無いからだ。
唇を噛み、なんとか悲しみを押し殺した。
精一杯の笑顔で土方君に笑いかけた。
「土方君、笑ってよ」
土方君は驚いていた。
だが、まだ笑わなかった。私の顔も見ず、ただ下を向いたままだった。
「...悲しそうな顔しないでよ」
「お前も充分悲しそうだ」
土方君の声は何時もより更に低い元気の無い声だった。土方君は1歩踏み出し、帰り道の方向を向いた。
「そろそろ帰るぞ」
「うん」
まだ4ヶ月、まだ4ヶ月ある。
「土方君」
「あ?」
それまでに伝えれば。
「...手、繋いでもいい?」
「何やってんだ、早く手貸せよ」
私は幸せ者なんだから。
52人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:唐辛子の民 | 作成日時:2018年4月8日 19時