【黒バス】・狂愛・【後編】

幸せを追う ページ6

鎖は意外に簡単に破壊することが出来て、少し拍子抜けしてしまった。


なにはともあれ、これで私達は中向さんを追うことができる。


足が解放されたことを確認してから、灯希くんはゆっくりと立ち上がった。


その瞬間に灯希くんの顔が僅かに歪んだ。私も青峰くんもそれを見逃さなかった。


灯希くん本人もその事には気付いているようで、若干不自然な笑みを浮かべた。


(灯「や、ちょっとな…中向に軽く太股切られてさ…」


そう言われて彼のズボンを見てみると、なるほど確かに太股のあたりが赤く染まっていた。


床にも、少しだが血痕がある。


(灯「ま、歩けないほどじゃねぇから気にすんな！」


A「…わかった。それに時間もないしね」


そう、私達にはあまり時間がない。だって中向は赤司くんに何をするか分からないのだから。


もしかしたら今この瞬間も赤司くんは殺されそうになっているかもしれない。


(青「…で、赤司はどこだ」


(灯「多分、別荘だ。俺も連れてかれたことあんだ」


…別荘、か。


薄々気づいてはいたけれど、どうやら中向さんはいいとこのお嬢さんらしい。


まぁこれだけ立派な家に住んでいれば嫌でも理解してしまうだろう。


A「今すぐ…行けそう？」


私は灯希くんの目を真っ直ぐに見つめる。


すると彼もしっかりと、強い意思を持って見返してくれた。


首をゆっくりと縦に振ったのを合図に、私達は家の外へと歩き出した。


…待っててね、赤司くん。君を死なせたりなんて、絶対にしないから。


絶対に、誰も、殺したりしない。

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