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第27Q:忘れられないモノ ページ30

キセキの世代と闘う日がいよいよやってくる。
いずれくるその日にうずうずして黄瀬は眠れなかった。そんな自分を落ち着けようと海に行った時だった


夜中だというのにぼーっと海を見つめている
少女がいた。それは紛れもなく天神Aだった。




黄瀬「いくら夏前でもそんな薄着じゃ風邪ひくッスよ?」

黄瀬は寝巻き姿の天神に自身のパーカーを羽織らせた


『··黄瀬くん

黄瀬くんが風邪ひくよ?』

黄瀬「俺は大丈夫っス。ほら、バカは風邪ひかないって言うじゃないっすか。」

そんなふうにドヤ顔で決めてくる黄瀬がおかしくて天神はふっと笑う


『ふふ、ありがとう。黄瀬くん』


黄瀬「こちらこそっすよ。いつもAっち先輩に助けられてるのは俺たちなんスから」


そこから、沈黙が流れる。

2人はただただ海を見つめていた
ゆっくりと口を開いたのは天神だった。









『そんなにいい物じゃないの、カメラアイって。
…嫌な事とか忘れたくても忘れられない』



黄瀬「Aっち先輩…」



『私ね…忘れられないの。
全中の試合も、選手の絶望しきった顔も
皆が何点どんなふうに入れてきたかも、つまらなそうにバスケする姿も、圧倒的な大差があるスコア表も、全部・・・未だに離れてくれない。
…それだけじゃない。バスケをやめていった帝光のみんなの姿…どれも鮮明に覚えてる。
だからかな…最初は黄瀬くんが怖かった。顔を見る度思い出すんだもん、色々と。』

黄瀬「…(名前っち)先輩···その、オレ···」

『ううん。良いの。あの時はあの時…でしょ?そばに居るうちに気づいたよ。黄瀬くんはいつだって楽しんで試合に取り組んでくれること。海常のみんなと一緒にバスケをしてくれてることも。まぁ、ちょっと生意気な所はあるけど。

それにね…黄瀬くん少し変わったでしょ』

黄瀬「そうっすかね・・・あんまり、自覚はないんすけど」

『そう?でも私は今の黄瀬くんのことちょっと…好きだよ』

黄瀬「なっ!」


『あ!!みて!・・・キレイ』


少しドキドキした黄瀬にとって
その美しい朝日と隣で笑う天神の姿は忘れないモノへと変わった。


黄瀬「オレ、もしAっち先輩が嫌なことあったらそれを忘れられる位塗り替えるくらいいっぱい楽しませるっす。バスケでも、なんでも」


『ふふ、ほんとに?』

黄瀬「任せてくださいっす。」

『それじゃ、頼りにしてる。さ、朝練に備えてゆっくりしよっか』

黄瀬「うげえ」

『頑張れ〜』


2人は笑って朝日を背にした。

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作者名:水無瀬。 | 作成日時:2020年1月3日 15時

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