【あんスタ】髪を切っただけ【日々樹渉】

おまけ５ ページ43

いよいよ本番一時間前！

会場外にはお客さんの待機列が！

流石にアイドル科の生徒もいると

客足も増えるもんだなぁ....

ドレスを身にまとい、準備は万端！

「Aさん♪」

舞台袖でソワソワしてると、

王子様衣装に身を包んだ

渉さんがやってきた。

「衣装、とても良く似合っていますよ♪」

『あ、ありがとうございます』

私は照れくさくて俯きがちにそう言った。

すると....

ガガッ....！

後ろから不吉な音がして振り返る。

背後では、立て掛けてあった舞台用の

大道具が、ゆっくりとこちらに向かって

倒れてくる！

「Aさんっ！」

咄嗟に渉さんが私の腕を引く。

突然の出来事に、私はよろけて、

そのまま渉さんに全身預ける形となり、

ついでに渉さんもバランスを崩して

二人して盛大に転ぶ！

ガタガタッ！！！

そのわずか数秒後、

私が元いた場所には大道具が倒れていた。

『いたたっ....

渉さ....』

私が目を開くと、凄い近くに渉さんの顔が！

渉さんもゆっくり目を開く。

思わず魅入ってしまう美しい瞳。

顔がだんだん熱くなってくる。

「ご無事ですか、Aさん」

優しくそう聞く渉さん...

ご無事ではありません！色んな意味で！

『だ、大丈夫です。

渉さんも、怪我はありませんか？』

「ええ。大丈夫ですよ」

そう言って微笑む渉さん。

思わず見とれてしまった。

そしていつまでこの状態でいる気だと

我に帰って、慌てて飛び退く。

『あっ、ご、ごめんなさっ、』

慌てすぎてドレスの裾を踏んでしまった！

元々ヒール自体慣れてないし！

前に倒れて次は後ろに倒れるかと思ったけど

渉さんが優しく手を引き、

転ばぬよう背中に手を回してくれて

私は危なく転ばなくてすんだ。

「危なっかしいお姫様ですねぇ♪」

渉さんはニコニコしながらそういう。

ちょ、ちょっと待ってよ！

なんか、もう！今の体勢！！

渉さんしか見えなくて、

しかも凄い近い距離に....！

恥ずかしい！

もう顔が真っ赤ですよ私！！

「大丈夫ですか？！」

大きな物音を聞きつけたのであろう

真白さんが、

奥の方から走ってきた。

そしてこの体勢の私たちを見付ける

「あっ」

急に顔を赤くして後ずさる。

ちょ、ちょっと待って！！！

なんか勘違いしてない？！？！

「ほ、北斗先輩呼んできますっ！」

真白さん走ってどっかに行っちゃったよ！！

渉さん相変わらず笑ってるだけだし！

なんで弁解しないんだよあなたも！！

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