【あんスタ】髪を切っただけ【日々樹渉】

１３話 ページ14

「Aさん！」

悲報 私、ソッコー渉さんに捕まる

「大丈夫ですか？

顔色が悪いですよ」

渉さんが私の腕を掴んで離さない。

心配そうに顔をのぞき込んでくる。

『大丈夫ですよ！

もう元気すぎて困るくらいに！』

私はそう言って満面の笑みで笑い

ピースなんかして見せた。

それを見た渉さんは呆れたふうに笑う。

「Aさん、演技は上手いんですが、

演技をするのは嘘をつく時ですからね。

嘘をついてます。と自ら言っているようで」

確かに。

渉さんには最初からこの手は効かなかった

今更引っかかってくれるわけない。

「で、どうしたんですか？

具合でも悪いのですか」

さて、嘘を付けなくなった。

なんて答えよう。

まさか二葉が苦手で....なんて言えない。

渉さんはファンを大事にする人だ。

言ったって困らせるだけだもん。

「めいみさんが苦手ですか？」

？！

えっえっ、

何この人テレパシーも使えたっけ？！

『そ、そんなこと無いです。

二葉とは仲良しですから』

咄嗟に嘘を付いたら、演技をする癖も

一緒に出てしまった。

渉さんは困った顔をしている。

『ほ、ほんとに！

二葉とは仲良しなんです！

本当です！！』

私はこればっかりはバレては駄目だと

必死で訴えた。

「そうですか。

なら良いんですけど」

よ、良かった。

一応納得してくれた。

『そんな事より、渉さん！

私先生に演技褒められたんです！』

「そうなんですか！

良かったですねぇ♪」

我ながらナイス話題替え！

先生よ、

話題をくれて、ありがとう。

思わず川柳になって

心の中で先生にお礼を言った。

話題替えが効いたのか、

渉さんが気をつかったのか、

渉さんは私の話を追求しなかった。

でも何でか、

今日は渉さんと一緒に居るのが

少しだけ辛かった。

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