お酒の力は偉大です ページ16
「うぅーん、上手くいかないんだぁ……」
戸締りをしてどこによることもなく家に帰ってきた私は曲と先程の朔君二つの意味で悩んでいた。
どうしてこうも何もかもが上手くいかないんだろう。フレーズも降りて来なければ、解決策も見出せない。それに明日はまた曲についての打ち合わせだ。私は机に突っ伏して頭を抱えてしまっている……
「あー、駄目だっ!
こういう時はお酒だお酒‼」
悩みでお酒に逃げるのは良くはないけど、ウジウジしても仕方がない。少し重たい身体を起こして冷蔵庫からハイボールを取り出す、グイッと一口飲むと炭酸特有のシュワっとした感じが口へと広がる。
レモンの香りが鼻から抜け、味にクセがあるわけじゃない……美味しい。
一口、二口とどんどん喉へと通っていく、
「あー、おつまみ欲しい」
お酒を飲むだけなのに、さらにそれ以上のものを欲求してしまう。いやぁ、怖いねお酒。
グッとその欲を抑えながらお酒と一緒に喉へと流すと「あー」っと声が溢れる。
これ、とまんねぇな……なんてもはやおっさんのような事を考えているとふと机の上に置いてあったスマホが目に入る。
そういえば、なるちゃんどうしてるから……お酒の力もあるのか自然と手が伸びて着信ボタンをタップしてしまっていた。
プルルルルと電話の振動音、あー出ないかなぁなんて思いを馳せていると「もしもし」と低めの声が私の中で響いた。
「あっ、もしもしなるちゃん?」
「えっ」
「ん?あれ……」
なるちゃん……にしては声が高い。
可笑しいなと思っていると、電話口から
「あの、申し上げにくいんだけど
俺 あらきです」
「えっ、あ、あらきさん⁉」
酔いがサッと冷めるのを感じる。
な、なるちゃんだと思ったのに…は、恥ずかしすぎる…‼
お酒で熱くなっていた身体は羞恥心への熱さへと変わっていた。え、ど、どうしよう……今の私は頭が回っておらず方法すらも見出せなかった。
そんな時、あらきさんが何かを察してくれたのか口を開いた。
「なるせなら俺の隣いるよ、なんかあった?
代ろっか?」
「えっ、あの…!」
「おい、なるせ代わって」
私の主張を聞くことはなく、あらきさんはなるちゃんへと自分の電話を手渡したのだろう、彼の電話口からは「……もしもし」となるちゃんの声が聞こえていた。
489人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
久住花子 - まっww塾一緒なんですけど← (2020年1月10日 23時) (レス) id: a45da1f95d (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - over the rainさん» いえいえ、こちらこそいつもありがとうございます…! (2019年12月25日 20時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 了解しました!ありがとうございます! (2019年12月25日 17時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - かんな鬼灯さん» ただいまです、ありがとうございます!頑張ります (2019年10月12日 21時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - 明日香さん» ありがとうございます!その言葉を胸に止めて頑張らせていただきます (2019年10月12日 21時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:定春 | 作成日時:2019年8月28日 1時