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第十六話 柏村 ページ18

――くぁ、と欠伸をして廊下を歩く。

睡眠は人間にとって非常に大切なものだ。
疲労は回復する、仕事の効率は上昇する、身長は伸びる。

全く持って大切だ。

俺は何時でも最高の状態で動けるように睡眠時間はきちんと確保する方だ。
だが、首領にその時間を削ってまでしてほしいことがあると云われたなら……

寝ない、だろうな。

時に、今は仕事を終えて寝るところだが、
明日は早朝から仕事。

よし、あそこの角を曲がって仮眠室に――
行こうと思ったら、だ。

にゅっとその角から足が出てきた。
靴下を履いていない、生足だ。

此の(やりかた)は姐さんだ。
だが、姐さんが俺にそんなことをするとは思えねェ。


「誰だァ?」


臆さずその人物を確かめる。


「…………どうも、中也様」


現れたのは、首領に会いに行ったときに時折いる少女。

その触れたら壊れてしまいそうな女が、
身体にぴったりと張り付いた黒衣を纏って俺を誘っている。

――非常に根は虔しやかであるくせに、
ひょっとした場合に突発的なイタヅラの出来る女だった、のか。


「何をしてンだ?」
「紅葉先生に、抜き打ちだと言われて……」


本統にアノ人は……。


「……紅葉先生は、どこかでこの様子を観察していると思います」


少し俯いて、事情を話し始める。
これが上手くできたら仕事がもらえる、だとか。

いつもなら突っ返すが、
首領から仕事を貰えない恐怖は、度々味わってきた。

故にその苦しみが分かる。
その苦しさを見捨てる俺ではない。


「――……成程……じゃあ、仕方ねェ。
 だがまァ、立ち話もあれだから一旦仮眠室に行くぞ」
「はい」


同意を得て、一緒に仮眠室へ向かう。



――その様子を、目を爛々(ぎらぎら)とさせた少女が見ていたのを、
――俺達はまだ知らない。


 


(Jeux interdits)

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 森鴎外   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 1でお願いします! 更新頑張ってください!!続き楽しみにしてます!! (2018年4月8日 21時) (レス) id: 7443137317 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - みぃさん» 原作第五十話に続くような形で書かせて頂きました。二三回読める話をモットーとしておりますので、深く考えていただけたら嬉しい限りです。更新頑張ります! (2018年4月7日 11時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 最後ので涙がブワッと…エリスちゃぁぁああん!! 更新楽しみにしています! (2018年4月5日 16時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - **楼椛**さん» いえいえ!応援有難う御座います。たっぷりお楽しみください! (2018年3月26日 20時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
**楼椛** - 初コメ失礼します!今日初めて拝見させていただいたのですが、とても面白いです(ありきたりな言葉ですみません) 更新頑張ってください!これからも森さんを楽しみにしてます!←← (2018年3月26日 19時) (レス) id: e7e0abd8b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:臣民 | 作成日時:2017年10月22日 9時

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