Love T-Rain【Kaz・N 0617BD/2014】 (ページ14)

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14両目ページ14

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何も言わない二宮さんを見ないように体を上げる。

「………Aちゃん、俺の方見て」

そっと視線を合わせるとちょっと困った顔の二宮さんがいて

「ごめんなさい。困らせるつもりは無かったんです」

情けない気持ちで声が小さくなる

「……あーっ、そんなんじゃないんだって」

どうすっかなって呟きながら上を見上げる二宮さん

久しぶりに見るその顎のホクロも恋しくて泣きそうだった

そこへ電車が滑り込んでくる

「とりあえず帰ろう。遅くなってるし」

そう言って二宮さんは私の手を握って電車に乗り込んだ。

繋いでくれた手にドキドキして

手汗大丈夫かなとか余計な心配ばかり頭に浮かぶ。

一つだけ空いていた座席の前で

「Aちゃん、座んな」っていつかみたいに言われて

いつかみたいに二宮さんのカバンを預かって座る。

でもいつかみたいに二宮さんが話してくれることはなくって

何も話さないまま私の降りる駅についてしまった。

もう会えないなと思いながら座席を立ち

二宮さんにカバンを渡す

「ほんとに色々ありがとうございました」

そう言ってもう一度お辞儀をした

「………俺も降りるわ」

その言葉にびっくりして顔を上げる。

そんな私の驚きはそしらぬ顔で二宮さんはさっさと乗車口からホームに降り立った。

「Aちゃん、今日も自転車？」

「今日はバスです。」

「えっ？てことは朝あの電車だった？」

はいって頷くと

タイミグわりーなーと小さくその口が動く

バス停まで行くという二宮さんとロータリーまで歩く

「二宮さん、私、大丈夫ですから。もう帰ってください」

次のバスまでもう少しあったけどここなら一人で大丈夫。

そう思っていたのに私の横に立つ二宮さんが

「……あのさ、さっき言ってくれたことホント？」

かーっと顔が熱くなっているのが分かる

「ごめんなさい、彼女さんいるのに。

忘れてください」

恥ずかしくって顔が上げられない。

私は忘れられないと思うけど

二宮さんに迷惑はかけたくなかった。

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