3話 ページ5
入学して早々に委員会決めがあるのは別に珍しいことでもなく、中学でもあったことなので私にとっては特に驚くこともなかった。
頬杖をつきながら『代議員は嫌だなぁ』となるべく仕事量の少なそうな委員会を考えていると、先生は白チョークで黒板に各委員会名を書きだした。
貴「うーん、、選挙管理委員会、かな…」
中学でもそうだったのだが、選挙管理委員会は6月頃にある生徒会選挙さえ終えればまったく仕事がなく、放課後の委員会の収集さえもない委員会なのだ。
自分の中で即決すると先生が代議員から順に委員会名を読み上げ、各々が入りたい委員会に手を挙げていく。
委員会のメンバー形成としては各委員会で男子1人、女子1人といったところだ。
そしてお目当ての委員会の名前が呼ばれ、手を挙げると幸い選挙管理委員は女子は私しか手を挙げていないようだった。
被ってしまう可能性も考えてはいたのだが、今日は運が良いようだ。
男子は3名ほど被ってしまったようで、恨みっこなしのジャンケンでカタをつけることになったらしく、なにやら悔しそうな声やが聞こえてきた。
先生「お、男子ももう決まったみたいね。
えーっと…じゃあ選挙管理委員会は佐野さんと、、緑間くんね」
先生が私ともう1人の役員の名前を呼ぶ声に反応して軽く教室を見渡した。
勿論、同じ委員会にペアで入る事になるのだからどんな人なのか気になるのは自然な事だが、『緑間』という普段聞きなれない苗字に無意識に反応したのもあるだろう。
貴「…あっ、、今朝の…」
目線を向けた先には、緑間と呼ばれた今朝私が鞄をぶつけてしまい冷や汗を流した原因である人がいた。
無論、今朝同様に机の端の方に可愛めのカエルの置物を置いている。
どうやら今朝見たカエルの置物は幻想ではなかったようだ。
貴「やっべ…!」
何かの趣味だろうか、はたまた何か他の意味があるのか、と色々と考えてるうちにふと目が合ってしまった。
見つめていたことがバレたことが恥ずかしくなり、軽く会釈をしたのだが、彼は不思議なことにドヤ顔(?)をキメてこちらをガン見してきた。
貴「え?うぇ?な、何…?」
緑「……人事を尽くしたまでなのだよ…!」
貴「あっ、はい、なるほど…?凄いですね…?」
ドヤァという文字が背景に付きそうな勢いでそう言う緑間くんに、少なくとも今朝ぶつかったときに見た怖そうだというイメージは跡形もなく吹き飛んでいた。
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作者名:ヤマ子。 | 作成日時:2019年8月3日 0時