32話 ページ34
緑「そのまま予選を勝ち進んでいくと、誠凛高校とあたることになる」
貴「誠凛って…去年できたっていう新設校??」
誠凛は秀徳と同じ東京都にある高校で、その上新設校なこともあり名前は知っていたのだ。
しかし、どうしてそんな新設校に対して緑間くんは何か思うところがあるのだろうかと首を傾げたのもつかの間、彼はポツリと呟き始めた。
緑「…前にオレが帝光中だったことを話したろう。お前が知っている通り、その時オレはバスケ部に入っていて例年のように全国制覇を成し遂げた」
そういえば入学初日に彼にどこ中かを聞いたら心なしか暗い表情をしたように見えたのは間違ってはいなかったようだ。
その様子を見るに、私と同様、何か苦い思い出があったようで踏み込んで聞いて良いものかと一歩引いてしまいそうになる。
緑「だが、その時のオレたちの世代は異質の強さ故に『キセキの世代』と呼ばれていたのだよ」
貴「それは私も中学の先輩から噂程度に聞いたことあるかも……確か、5人いたよね?」
緑間くんがキセキの世代と呼ばれていたことには何ら驚きもなかった。
毎日のようにあんなに遠距離から高精度のスリーポイントを見せられてはこの人は天才なのだとつくづく思い知らされるのだ。
緑「正確には6人いる…そいつの性質故にすぐに話題は消えてしまうのだが、そいつは『幻の
貴「もしかしてその人……誠凛高校にいたりする???」
私の嫌な予想は的中していたようで、彼は溜息混じりに頷いた。
新設校といえど緑間くんと同等のレベルの人間がいるとなれば断然話は違ってくる。
貴「私は秀徳が1番だと思ってるけど…まぁ、油断はできないね。」
緑「ああ、ヤツはオレ達とは違う…異質の強さなのだよ」
そう言って彼はいつものように眼鏡のブリッジを上げると「話は以上だ。情報共有も大事なのだよ」と言って私達の目的である教室のドアを開けてくれた。
貴「ウッ、、ナチュラルにそういうことするの紳士すぎてほんとにもう………」
緑「…?どうしたのだよ、不細工な顔になっているぞ」
貴「照れてるんです!!
どうもありがとう!真ちゃん!!!」
緑「高尾と同じ呼び名で呼ぶな!」
どうもこの鈍感なエースさんは察するのが得意ではないらしい。
こうなったらヤケクソだと少しおちょくってみると、まるで高尾くんと話すときの様な彼の対応に少し距離が縮まったかのように思えた。
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作者名:ヤマ子。 | 作成日時:2019年8月3日 0時