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ピーッ。ホイッスルの音が体育館に響いた。
コートの上で私達は息を切らし、相手チームと熱い握手を交わす。長かった試合が終了した。
「キミ、一年生なんだって?ブロック凄かったよ。経験者?」
握手を交した恐らく二年生の先輩が、爽やかな笑顔と共に私を見た。
「はい、一応」
「そかそか、来週の新人戦頑張ってね」
ありがとうございます。お互い頑張りましょう。
ぎゅっとまた手を握り返した。
「Aおつかれ〜!」
試合が終わり、相手校の顧問に挨拶も終え後は着替えて帰るだけとなった。
ルナがタオルを持って駆け寄ってきて、私はそれを受け取ってお礼を言った。
「ルナ達も応援ありがとう。おかげで勝てたよ」
練習試合とは言え手を抜くわけにもいかない。この調子で来週の新人戦も頑張りたい。
「ねね、帰り野球部寄ってこ」
「はぁ?なんで」
「あっちも練習試合してるっぽいんだよね!」
ルナってそんな野球好きだったっけ。
どうして急に野球部に目覚めてしまったんだ。
「急すぎるよ…」
「野球部ってイケメン多いでしょ、疲れた体に目の保養ってね!」
「はぁ…」
よくわかりませんが。というかイケメンだけで言うならサッカー部もイケメン多かった気がする。
*
「おー、やってるやってる」
休日なのに練習試合とは、野球部も気合いが入っているようだ。うちもだけど。
フェンス越しにグラウンドを眺めながら何となく目で御幸くんを探した。
別に理由なんてないけど、試合出てるかなーとか気になるじゃん。
「ていうか野球の強豪校ってだけあって、知らないおじさんとかいるね」
ルナはキョロキョロと辺りを見渡した。
確かに、フェンスの周りには手帳を持ったおじさんやお姉さん。それから酒を片手にふらっと来ては野球を観戦(?)している。
思わず「おぉ…」とちょっと引いてしまった。
「野球部だけじゃなくて、バレーやバスケもうちは強いんだよ?もっと目を向けて欲しいよね〜」
「うん。でも野球部も凄いよ、私ルール分からないけど見てて熱くなっちゃうね」
「ふふ、ウチらも来週がんばろーね!アタシめちゃくちゃ応援するから!!」
「あはは、ありがとう」
頼もしいです。
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作者名:ららら | 作成日時:2019年10月27日 2時