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「あ、Aちゃん待ってたよ」
私を待っていた先輩というのは部長のタナカ先輩だった。ルナと一緒に私の教室の前に立っていた。
「お待たせしました」
「いやいや、お友達とお話中にごめんね!えっと今日の放課後なんだけど、部活の前に全員でミーティングがあるからそれを伝えに来たの」
「ミーティング、ですか」
「うん。総体に向けてのポジション確認と…メンバーの入れ替えについてが主になるかな」
それはつまり、ベンチ入りメンバーやスタメンの変動があるということだ。
「もう総体まで二ヶ月もないからそろそろきちんと決めておかないといけないでしょ?」
「私もベンチ入り出来るように頑張らなくちゃなぁ」
「勿論今日のミーティングでスタメンとベンチ入りメンバーが決まったとしても、そのあとの練習や実力次第で変わる事はある。私なんか二年でやっとベンチ入りしたくらいだから、焦ることはないのよ」
へぇ、スポーツ推薦のタナカ先輩でもベンチ入りが難しかったんだ。
ーーって、私なんか入学早々スタメンなんですけど。
「あの、先輩は___」
「あら、もう授業始まっちゃう。じゃあ私は行くから、また放課後にね」
「……はい」
先輩は私のことをどう思っているのだろうか。
他の先輩達同様に腹立たしい気持ちを持っているのだとしたら、私は。
「ほら、何突っ立ってんのA。チャイム鳴ったよ」
「……あぁごめん、ぼーっとしてた」
「ならいいけど」
また後でね、と教室に戻ったルナの背中を見送って私も教室に入った。
人間って難しいな。
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作者名:ららら | 作成日時:2019年10月27日 2時