第96話 ページ49
三日月さんとの恋仲(仮)生活が始まって1週間が過ぎた
最初は何をすれば良いのか悩んでいたが
今では、三日月さんと過ごす時間は楽しい
特に何かするわけでもない、お茶を飲んで他愛もない話をする
隣に居ると少し緊張はするが落ち着く
だけど、一緒に居る時間は前よりは増えたものの
進展は何もない
ゆっくりで良いと私に合わせてくれる三日月さん
ありがたい
ありがたいけど...
きっと、色々と我慢しているだろう
三日月さんは待つって言ってはくれているが限度だってあるはずだ
そう思うとフェアな関係じゃない
踏み出すのが怖い自分も居る
もし、気まずくなったらと思うと...
いや、このままじゃダメだ
私が動かないと始まらない
『三日月さん!』
「どうした?」
『...あ、あの、恋仲(仮)生活を始めて1週間経ったじゃないですか。どう思ってますか?』
[どう...か。そなたと共に居れることは嬉しく思うぞ]
『...私、三日月さんを受け入れたいって言いながら何も出来てないなって...』
[そんなことはないぞ]
『そんなことあります!三日月さんのゆっくりで良いって言ってくれた言葉に甘えてばかりで...』
[....]
『このままじゃいけないと思ってるんです。でも、上手く進めなくて...』
[少しずつで良いではないか]
『でも!三日月さん、色々と我慢してますよね?』
[...あぁ。そうだな]
『やっぱり...』
[だが、そう急ぐ必要はないだろう]
いつもなら、三日月さんの言葉に甘えてしまう
でも、ここで引き下がっていたら何も変わらない
『三日月さん!三日月さんが私を大切に思ってくれているように、私も三日月さんのこと大切に思っているんです』
[...Aよ。今だけ、恋仲(仮)であることを忘れても良いか?]
『え?』
[今、そなたに触れたい]
『...っ!』
私の頬を撫でながら問う三日月さん
[良いか?]
『...も、もう触ってるじゃないですか』
[はっはっは。バレていたか]
『...三日月さんなら、良いです』
[...じじいを甘くみては痛い目にあうぞ]
『...重々承知してます』
あれからどれぐらい経っただろう
まだ、三日月さんに触れられた場所が熱く感じる
思い出す度に顔が赤くなってしまう
"[A]"
私の名前を優しく呼ぶ三日月さんの声が
私を見つめる三日月さんの目が焼き付いて離れない
明日からどう接すればいいのだろう...
三日月さんの顔、まともに見られるのかな...
58人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年9月22日 20時