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結局あの後、泣き疲れた日和君はそのまま寝こけてしまった。
明日もバッチリスケジュールが詰まってるのにこんなになっちゃう彼も、アイドルとして表に出れば"輝くノーブルスマイル"巴日和なんだから凄いものだ。
私ももちろん明日は仕事だから、日和君とそのまま寝る訳にもいかなくてお風呂に入って歯を磨いてそのまま眠れる状態にしてもう一度日和君のところに戻ってきた。
テレビではあんなにキラキラしてカッコよくて可愛くて、みんなの太陽みたいな人でも、私の前では目を泣き腫らしてこんなに幼い顔で眠るんだ。
ふわふわ黄緑色の髪を撫でて、自分の部屋に戻って私も目を閉じた。
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ジリリリと目覚まし時計のけたたましい音で起きると、いつの間にか私の隣には日和君が寝ていた。
それもきちんとお風呂に入って、服も着替えた状態でだ。
目の腫れもないし、きちんと目を冷やしてから寝たんだろう。
プロ根性というか、やっぱりなんだかんだ日和君は凄い。
でも、そんな日和くんに構うことできない私は仕事の準備を始めようとするけど、日和君は私の服の裾を引っ張って引き止めていた。
「なに??」
大人しく引き止められると綺麗な紫の瞳でこちらを見上げてくる
「まだ僕のこと嫌い?」
どうやら勘違いをしているらしい。私が自分のところから離れていくとでも思っているんだろう。
だから、私の服の裾を掴む手を握って、不安そうな顔の彼に言ってあげた
「嫌いになんてならないよ」
そう言えば、また泣き出すものだから仕事現場には遅刻ギリギリについてしまうのだった。
「今回は間に合ったからいいですが、もう少し余裕を持って行動できるよう心がけてください。メイクさんもせっかく早くから来てくださってたのに...」
「大変申し訳ありません...。日和君に縋りつかれて...」
「はあ、Aさんも大変なのはわかるんですけどねえ」
マネージャーからの小言をくらったのはここだけの話
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作者名:悪者 | 作成日時:2021年12月28日 17時