【おそ松さん】俺らの嫌いな妹は俺らが好きな歌い手だった ２曲目

５６話 ページ9

外はもう暗い。慌ててリビングに戻ると、天月さんと96猫さんがスマホを手に何か笑いあってた。


『あ、あの！パソコンありがとうございました！』

天「おー、お帰りー」

96「良かった……良かったよ。えへへ……」

『あの、宮川くんたちは……』

天「時間が時間だから。帰っちゃいました」


それもそうか。私が放送を始めたのは９時ぐらい。それに最近は日が落ちるのが早くなってるし、危ないよね。気付けよ私。

そろそろ私も帰らないと。やっぱり自分の家で自分のパソコンを使いたい。

天月さんの隣で顔が緩みきっている96猫さんがとても気になるけど、後で聞こう。また会う機会があれば。


『じゃあ私も帰ります。パソコンありがとうございました』

天「もう遅いし泊まって行きますか？」

『さすがに今日会ったばかりの人にそこまで迷惑をかける訳には』

96「それいい！わしも泊まる！」

『……帰りますね』


だって私が(無理矢理だけど)連れて来られた理由って傷の手当とパソコン借りるってことだけのはず。

私がここに残る意味はもう無いのだよ！よし、玄関まで行こう。そこまですれば諦めるよね。ね？


天「じゃあせめて家まで送りますよ」

『でも、』

天「その傷だらけの状態であの大荷物持って帰れます？」


天月さんが指差す所には買い物袋。あー、宮川くんに持って来て貰ったっけ。

腕を見れば手当てされて包帯やらガーゼやらで真っ白になっている。ところどころ滲んでるけど大分マシ。

この腕であの荷物……。送ってもらう方が良いか。でももう暗いし迷惑だと思うし。


天「迷惑だと思ってます？今からコンビニ行こうと思ってたし大丈夫ですよ」

96「それはつまり、わしにタピオカを買ってくれるってことだよね？！」

天「アホか。食料少ないんだよ。誰かさんが食べ尽くすから……！」

96「それってわしじゃなくて、そらるんとかまふとかでしょ」

天「お前も誰かさんには入ってるからな？」


優しいな。こんな見ず知らずの私にも優しくしてくれる。

そういえばさっき96猫さん”そらるん””まふ”って言ってた。歌い手繋がりかな。


『一ノ瀬さんも相川さんも凄いなぁ……。一ノ瀬さん、大丈夫かな？アンチに偉そうなこと言っちゃったし……』ﾎﾞｿｯ


家に着いたらお礼言って、青い鳥で何か言った方が良いかな？でも一ノ瀬さんは超がつくほど有名人。下手したらアカウントが固まる。


『打つ手無し。あの時、２人が歌い手だって分かってればなぁ……』

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