【マギ】ルフが溢れるこの世界で。【トリップ】 (ページ13)

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14話　＊お兄様＊ページ13

とんでもないことを言った金髪の少年、アリババ・サルージャ。
　
　この人が、私の兄？？

　何を根拠に…それに、王宮では一度も会ってないし、聞いたこともない…。

　私がブツブツと独り言を言いながら考え込んでいると、アリババさんが、

ア「そりゃぁ信じらんねぇよな。俺だって妹がいたなんて、1年ぐらい前に知ったんだし…」

　私はそれを聞いて、恐る恐る聞いてみた。

貴「貴方は、本当に私の兄なのですか？王宮では会ったこともありませんし…失礼ながら、あなたのことは聞いたことがないのです。」

ア「それは事情があってさ…でも俺は、君のことをロスから聞いていたから…少しわかるよ。」

　アリババさんはニコリと笑った。少しだけ、哀しそうにも見えた。

ロ「まあ、アリババからの情報もあるけど…違うやつがいるんだ。そいつが俺たちの主な情報元なんだ。」

貴「他に…いるの？？」

ロ「ま、教えねーけどな！！」

　私は怒りをグッとこらえ、ロスは無視して、アリババさんに話しかけた。

貴「アリババさん、この国についてはどうお考えなのですか？」

ア「アリババか、兄さん…とかでいいよ。この国のことは、いずれどうにかしなくちゃならないと思ってるよ。」

　じゃぁ…お兄様と呼ぼう。

貴「わかりました…アブマドのことをどうするおつもりで？」

ア「アイツは今のこの国がこうなっている原因だからな。許しはできないけど…」

貴「…え。」

　私は驚きのあまり、情けない声を出してしまった。

ア「Aさん？」

　まだ私のことをさん付けで話すお兄様は心配そうに話しかけてくれた。

貴「いえ。なんでもありません…。」

　私以外にも、アブマドを、この国のことを変えようと思ってる人が…

　カシムもそうだが、あれは違う意味がこもってるに違いない。

　とてもうれしかった。

　私の味方は、リリシアだけではない。お兄様も。

　人を信じなかった私。きっと人は信じなきゃだめなのね。