真選組血風帳弍【沖田総悟】 (ページ40)

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第86訓心労祟ると意外と体にくるページ40

討ち入りから1ヶ月後1番隊は異国へと赴き、出張は何も問題ひとつなく、と言うのは嘘だけど若瀬の献身であっという間に終わり、4月1日には御所へ帰ってきていた。

御所に帰ったAを出迎えたのはあの時助けた子供達と親からのお礼の手紙の数々だった。
それは亡骸のまま家に帰ったあの子の親からも届いていた。

「ウチの子を家に帰してくれて有り難う御座います」
皆一様に感謝を述べ、中には元気で過ごしている写真や子供がAの事を描いた絵なども入っていた。

「あー、出張の疲れとか飛ぶ。子供可愛い」

出張帰りの大荷物を片付けて、一通り読んだ手紙も丁寧に仕舞う。

「Aさん、お茶でもどうですか？」

部屋の外から声をかけたのは高木だった。
なにやら、高級そうな茶菓子を手に持っている。

「実家から、いつもお世話になってるAさんへだそうです」

あの一件の後、疎遠だった両親に会いに行き、今度何かあったら払う前に相談する様に面と向かってぶつかってきたらしい。

「高木が入れたお茶ぬるい」

「あ、へへすいません。それにしても、異国って物騒だって聞いてたんですけど全然でしたね」

「まぁでも、日本にはない病気とか流行ってるらしいしみんな無事帰ってこれ、て」

縁側の定位置に座っていたAの体がぐらりと揺れ、湯呑みが庭に落ちて割れた。

「Aさん！？！？伏線回収早すぎます！しっかりしてください！！！」

テンパった高木の大声にあちこちの部屋から何事かと隊士が顔を出しては、Aの様子に男達も大慌て。

大事な時に頼りにならない男達だなぁ、と呆れながら意識が途切れた。

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「そう言うわけで私はこれで」

「先生有難う御座いました」

目を開けると兄と沖田の姿、そして遠ざかる白衣。
ここ1ヶ月半で見慣れた自室。

「起きたか」

「お医者さん？さっきの人」

「あぁ」

熱があるらしい。少しもやのかかる頭で置かれてる状況を聞く。

異国産のウイルスで、日本の気候では生きられないため空気感染はしない。
その代わり事例が少なく症状もはっきりとは予測できない。
長くても2週間ほどで勝手に死滅するだろうとの事だった。

「移らないならよかった」

「他の奴らは発症してないのは、お前の免疫が弱ってたからだろうって。まぁ要するによく休めとさ」

「迷惑かけてごめんね」

「兄貴は妹の心配が仕事なんだよ」

「いい迷惑だねィ。誰と風呂入れってんでェ」

「ふふ、ごめんごめん」

沖田が熱を測る様におでこに当てた手が冷たくて、いつもはその手の冷たさを消したかったのに今は心地いい。