第71訓 怒られる前身構えてる時って吐きそうになるよね ページ25
「兄ちゃん?」
「……」
「副長?」
「…今どっちの立場で話すか迷ってるから待て」
あぐらに腕組み、眉間に皺を寄せて考え込んでいる。
「いや、どっちの立場にしても今回のことはよくない」
「ちっ、堅物」
「おい」
「結果オーライじゃん!私が京都に来てなかったらどうなってたことか」
「お前の犠牲の上に成り立つ結果オーライなんて、誰も嬉しくねぇ。心配した方の身にもなれ。あいつらにも同じこと言えるか?
お前のことを慕ってる奴らに。
結果オーライだからって納得させられるのか?」
「……」
言い返す言葉もなかった。
兄だから、そうやって跳ね返せても、あの日総悟の前に立ち塞がってくれたあいつらに言えるのかわからない。
言ったとしても納得してくれないだろう。
どこぞの栗毛がいい例だ。
「そもそもお前はいつもそうだ。話はそよ姫様から伺ったぞ」
姫は信女から聞いたんだろう。完全な善意の流れに攻め所が無い。
「まず、話が来た段階で相談してくれればもっと他の方法が考えられた」
「思いついてなかったじゃん年末まで」
「それに……」
もはや言い返す気も失せてとりあえず俯いて反省してるフリをしながら聞いてた。
心配かけたのはごめんなさいと思うけど今は何しろ結果オーライだと思う。
だって嫌なことは私が引き受ければいいから。
話は膨らんで何年前かの話まで引き出されマジ説教に足が痛いなぁと思い始めた頃。
「まぁ、うちの子も反省してますので」
「近藤さぁん」
やらかした部員を庇う顧問か、グッと親指を立てた近藤さんはオールマイトさながらの救世主だ。
「アンタはこいつを甘やかしすぎだ」
「後は家でよーく言い聞かせますので、本日は、ね?」
「はぁ、報連相。約束できるか?」
「うん!」
「もう行っていいぞ」
「兄チャァン大好き♡」
「調子のいいやつめ」
目の前で仏頂面をぶら下げてる兄にぎゅうと抱きつくと口では捻くれてるが、満更でもなさそうだ。
「夜は宴会だよ。天子様が差し入れてくれたんだ」
「ひゅうさすが帝ぉ」
「こらA」
「はぁいごめんなさい。あ」
「どうした」
「これ、バレンタインデー。そろそろ禁煙しなよ」
「電子タバコって……まぁ気が向いたらな。
あ、そうだ言い忘れてた。今回はお前が無事だから結果オーライだが、事が片付いても、戦に勝っても。
失ったものは帰ってこない。その時は結果オーライなんて生ぬるい言葉は通用しないぞ」
「うん。それはよくわかってるよ」
だから私が率先して行くんだよ。
そう思ってる私はまだ反省してないのだろう。
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作者名:愛総 | 作者ホームページ:https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時:2021年8月27日 20時