真選組血風帳弍【沖田総悟】 (ページ3)

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第51訓後悔は先に立たないからこそ後悔ページ3

「んぅ、そぉ……ごっんむっ」

息継ぎの合間に無理して呼ばなくてもと思いつつ愛おしさに胸がいっぱいになる。
「はいはいここにいやすよ」と手を握ればきゅうと握り返されたそれには金属の感触。

「ずいぶん甘えたじゃねぇか。どーした」

Aは行為中にキスされるのが好きだ。
今日は加えてうわごとのように俺に好きだなんだと恥ずかしくなるくらい口にする。

___今言わないといけないように

「A、何がそう不安なんでィ」

結局さっきよりも酷く泣かせて真っ赤になった目元を拭いながら髪に指を通す。

「早く江戸に帰ろうね」

「あ？俺がいりゃあどこだって一緒だろ」

そうだね、と胸に顔を埋めてくるがそれすらも気になる。違和感は解消されず、聞くこともできず、平行線のまま愛しい気持ちだけが増幅していく。

結果的にはその夜は聞き出せなかった。

そして、俺は泣いていようが酔っていようが、無理矢理にでも聞き出すべきだったと後悔することになる。

この夜ならまだ止められたかもしれないのに。

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会議やら稽古やらが終わった昼下がり15時ごろ。

相変わらず1番隊はAの部屋に集まって茶を飲んでいた。

「流石Aさん。俺たちが食べたいもんバッチリ」

「もっと褒めてくれてもいいよ」

流石に10人以上入れるとなると広い幹部の部屋でもぎちぎちで、なんで野郎ずくしで茶飲まないと行けないんだよと思いつつ毎回来ている。

「天気いいし中庭行きません？」

流石に狭いとは共通で思ってたらしい。
湯呑みが倒れる前に若瀬の一声でぞろぞろと中庭に向かう。

中庭では山崎や他の隊の奴らも時間を持て余してカバディやバドミントンやらをしていた。

「良い天気だねぇ」

じゃんけんで負けた神山が茶やらを運ばされてるのを横目にAが呑気な声を出す。

「話題が無くて天気の話するくれぇなら話すな」

「いいじゃんもしかしたら天気の話してた頃が懐かしいなぁってなるかもよ。そんな時には…誰も斬らなくて良い日が来るかも」

「そしたらお役御免で無職だな」

「その時はラーメン屋でもしようか」

「もっと花屋とか可愛いこと言えねぇのかィ」

「好きなんだもん。人じゃなくてラーメンの湯を切るってね」

「ラーメン屋なんかやったらみるみるまに太りそーだな」

昨日の夜のことは何事もなかったようにクスクス笑って、怒って。

「Aさーんミントンやりましょ」

「先に運動貯金ためてこよっと」

「そう言うシステムじゃねーからデブって」

いつか、いつかAが人を斬らなくていい日が来ることを俺は切に願った。