愛されない？知ってます

伍(過去篇) ページ6

六年前…12歳

「お母さん？お父さん？如何したの？」


　ある日の深夜、私は両親に起こされ
　無言で腕を引っ張られ、外へ出た

　連れられた場所は人の気配がなく静かな処だった


「？お母さん「五月蝿い！」


　母親を呼んだ瞬間、バシンッと乾いた音がしたのと同時に、痛みが走った


「えっ…」


　最初は理解出来なかったが少しずつ理解した

　私は今、父親に平手打ちをされたのだ…と


「ど…うし…て…」


　溢れそうになる涙を堪え乍、暗くて余り見えない両親の方を見る


「見て判らない？お前を捨てるのよ！」


　そう、母親が云った

　何で？如何して？ちゃんと善い子にしてた…なのに

　困惑していると父親が口を開いた


「貴方の明梨はよく笑って、よく甘えて、顔も善いし頭も、運動神経も善い。

　けど、お前は？いつも感情を顔に出さずにいる。
運動も明梨より出来ないし、性格も顔も可愛くない

　何もかもが明梨に劣っているお前に生きている価値なんて物はないんだよ」


　冷たい声でそう云われた

　自分勝手な人達…自分の理想を子供に押し付け、
　出来なかったら捨てる…厭な大人…

　心の中でそう思った…心算だったが口に
　出してしまったらしい

　「生意気な子供ね！」と云われ母親に腹を蹴られてしまった

　苦しく、咳をしている私を置いて両親…彼女達は
　闇の中へ消えていった

ーーーーーーーーーーーーーー

三日後

　まだ…死にたくない…

　あれから何とか多少人通りのある場所まで歩いて来たけど…流石にもう限界か…

　フラッと躰が倒れ、私は意識を手放した

　意識を手放す前、赤髪で青色の瞳の男性が
　チラッと見えた気がした

　

陸→←肆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す